Subject   : 銅の精錬

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 銅の精錬
 銅の鉱石には黄銅鉱CuFeS2がある。精錬にはまず、黄銅鉱を溶鉱炉で溶かす。溶鉱炉にはコークスCおよびケイ砂SiO2を加える。

\mathrm{ 2CuFeS_2 + 4O_2 + 2SiO_2 → Cu_2S + FeSiO_3 + 3SO_2 }
硫化銅Cu2Sは「かわ」とよばれる。この硫化銅は炉の下層に沈む。FeSiO3 は上層に分離する。溶鉱で発生したFeSiO33は「からみ」という。なおFeSiO3 の式をFeOSiO2と書く場合もある。
この硫化銅を転炉で空気を吹き込むと、銅が遊離する。
\mathrm{ Cu_2S + O_2 → 2Cu + SO_2 }

転炉で作った銅を粗銅(そどう)という。粗銅の純度は98.5%程度である。
粗銅の純度を上げる目的で金属のイオン化傾向を利用した電気精錬が行われる。粗銅を陽極にして、純銅板を陰極にして硫酸銅CuSO4水溶液中で電気分解すると、陰極に純度が高い銅(99.97%程度)が析出する。 このように電気精錬で得た銅を電気銅という。 この電気銅が、現在(西暦2013年に記事を執筆)、用いられている銅材料の原料である。
なお、電気精錬の際に、銅中に銀Agや金Auなどの不純物が混ざっていると、電気精錬の際に、銀や金はイオン化傾向が銅よりも低いのでイオン化せず、金や銀が陽極の下に沈殿する。この沈殿を陽極泥という。

電気銅は、まだ水素や硫黄などの不純物が含まれており、それらの不純物を取り除くため電気銅のあとにも精錬は続く。 特に、銅への水素の混入は、水素脆性(すいそぜいせい)という金属材料が脆くなる原因になるので、取り除かなければならない。

銅の特徴として、銅は電気の伝導性がよく、また熱の伝導性も良い。なお、一般に純金属の熱伝導性と電気伝導性は比例する。


 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]