Subject   : 無機顔料

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 無機顔料
無機顔料は大別して天然鉱物顔料と合成無機顔料に分類される。有機顔料に比べてはるかに生産量が多いため、日本工業規格(JIS)では特に生産量の多い12品目を統一規格の対象として規定している。

古来、顔料は油脂類を燃やした際の煤を使用した黒色以外は自然の鉱物を粉砕したものが主体であった。黒色の煤は現在カーボンブラックと呼ばれ、非常に多様な用途に使用されている。書道で使う墨の高級品は昔ながらの油煙(ランプブラック)を使うが、一般的には天然ガスや石油を不完全燃焼させて作ったファーネスブラックが使用されている。また絵具では植物を燃やしてつくった植物性黒や動物の骨を燃やしてつくった骨炭も使われている。ラピスラズリを使ったウルトラマリン青や孔雀石を使った緑青などは高価であり、高級な絵画や装飾物に使用された。赤色は弁柄(天然酸化鉄赤)や辰砂(硫化水銀)が使われた。

現在工業的に使用されているものは、アンバーやシェンナといった天然土由来の褐色顔料や、炭酸カルシウム(白色)、カオリン(粘土、淡色)などが多い。これらの天然鉱物顔料のうち、淡色ないし無色の顔料は、淡色の塗色を作るときに使われる。また、レーキ顔料の製造における担体としても使われる。特殊な例として白色雲母を粉砕して使うパール顔料(真珠様光沢を有する)がある。天然鉱物顔料は今日では顔料工場にて微粉砕されており、使用目的に応じた化学的処理を受けて出荷されている品種も多い。

化学的に合成された純然たる合成無機顔料は、1704年にドイツで合成された紺青(プロシア青)以来、数多くの品種がある。白色顔料は今日ではチタン白(二酸化チタン)や亜鉛華(酸化亜鉛)が使われており、古くから白粉に多用され中毒を起こして問題になっていた鉛白は油絵具以外には使われなくなった。代表的な合成無機顔料としては他に合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等がある。無機顔料は一般的に有機顔料に比べると着色力、鮮明さ、透明性に欠けるが、耐光性が良く塗料などに多用される。銀色や金色(銀色を黄色く着色したものが多い)の塗料やインクに使われるアルミニウム粉も無機顔料である。なお、陶磁器に使われるセラミック顔料も、無機化合物であり且つ顔料であり、無機顔料である。

種類 コメント
白色顔料 亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉
赤色顔料 鉛丹、酸化鉄赤
黄色顔料 黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)
青色顔料 ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)
黒色顔料 カーボンブラック



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