Subject : 寒波
カテゴリー : 気象
寒波
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寒波とは、主に冬期において、高緯度地域にある非常に冷たい空気(寒気)が南下し、中緯度地域の広
範囲に2〜3 日またはそれ以上の期間、平常より著しく気温の低い状態をもたらす現象です。北半球では
北緯40 度付近を流れる偏西風(寒帯ジェット気流)が南北に蛇行すると、寒波の要因となる寒気が北か
ら南下しやすくなります。
強い寒波が到来すると、暴風や高波、積雪や低温に伴い、様々な交通障害が発生するほか、積雪によるビニールハウス等の農業施設の倒壊、着雪による倒木や断線による停電等の被害が懸念されます。強い寒波が予想される場合、気象台は「強い冬型の気圧配置に関する気象情報」等を発表しますので、事前に必要な対策をとってください。
「寒気(かんき)」とは、周りの空気に比べて低温な空気のことをいいます。冬に「非常に強い寒気が流れ込んで日本海側では大雪のおそれ」といった使い方をすることもあれば、夏に「上空に寒気が流れ込んで大気の状態が不安定になっている」というように、周囲の空気との相対的な温度差を表す言葉として通年使用します。
寒気の中でも、期間、範囲、低温の程度が大きい場合には「寒波」が使われます。
寒波がもたらす荒天によって、以下のような影響が懸念されます。
・大雪や暴風による飛行機の欠航、電車・バスの運休、道路の通行止めなどの交通網の乱れやマヒ
・大雪による車の立ち往生
・視界不良や道路の積雪・凍結による車の事故、歩行者の転倒
・低温による水道管の凍結、破損、断水
・暴風や積雪・着雪による倒木、停電、農業施設(ビニールハウスなど)や車庫の倒壊
・暴風や着雪による停電(送電線のショートや断線)
例えば国内では、2018年1?2月に32年ぶりとなる記録的な寒波に見舞われ、全国の広い範囲に影響がでました。西日本・東日本を中心とした低温と、北海道から北陸の日本海側にかけての大雪により、多数の地点で最低気温や積雪深の観測記録を更新。とくに影響の大きかった北陸地方では、長時間にわたる車や列車の立ち往生が発生。さらには水道管凍結による大規模な断水も発生し、いずれも自衛隊の災害派遣が行われました。
寒波は、複数の要因によってもたらされることが多く、事象によってその要因や組み合わせも異なります。そのため、一概にはいえないものの、次のような現象が関係していると考えられています。
一つが、「北極振動」と呼ばれる大気現象です。北極振動とは、高緯度の北極域と中緯度域との間の地上気圧がシーソーのように変動する大気の変動パターンのことを指します。気圧がシーソーのように変動することで、北極域の寒気をため込んだり、放出したりを繰り返します。
寒気が放出される(北極振動が負の状態といいます)と、ため込んでいた寒気が中緯度に流れ出し、寒波が起こりやすくなります。この寒気の南下は、とくにユーラシア大陸、アメリカ大陸で顕著な傾向がありますが、日本付近にも影響が及ぶことがあります。
もう一つが、熱帯海域の「ラニーニャ現象」です。ラニーニャ現象が発生すると、西太平洋熱帯域(インドネシア付近)の海面水温は高くなり、対流活動が活発になります。
この地域の対流活動が活発になると、その影響が中緯度まで伝わり、日本付近では偏西風が南に蛇行して北からの寒気の影響を受けやすくなります。
さらに、近年は北極海付近の海氷の影響も注目されています。
ノルウェー沖(バレンツ海)の海氷が少ないと、北極海を通る低気圧の経路が北上し、一方で大陸上のシベリア高気圧は勢力を強めてどんどん寒気をため込むため、日本付近も寒波の影響を受けやすくなります。
また最新の研究では、アラスカ沖(チュクチ海)の海氷が減少すると、その上空では北極域の寒気が北に蛇行した偏西風によって東西に押し出されるようにして南下し、アメリカと東アジア付近に寒波をもたらすということもわかってきました。
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<出典:日本気象協会>
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