Subject  : ノロウイルス

カテゴリー: 健康・医療情報 


 ノロウイルス
普通の細菌よりずっと小さく、電子顕微鏡でなければ観察できないほど 小さな粒子です。ウイルス粒子だけでは、増えることができず、人間の生 きた細胞の中でのみ増えることができるのです。
1968年に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学 校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見さ れた土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれました。
1972年に電子顕微鏡下でその形態が明らかにされ、この ウイルスがウイルスの中でも小さく、球形をしていたことから「小型球形ウイ ルス」の一種と考えられました。その後、非細菌性急性胃腸炎の患者からノー ウォークウイルスに似た小型球形ウイルスが次々と発見されたため、一時的に ノーウォークウイルスあるいはノーウォーク様ウイルス、あるいはこれらを総 称して「小型球形ウイルス」と呼称していました
2003年8月に、SRSV(Small Round Structured Virus: 小型で球形のウイルス)からノロウイルスに名称が変わりました。
ノロウイルスは、表面をカップ状の窪みをもつ構造蛋白で覆われ、内部にプ ラス1本鎖RNAを遺伝子として持っています。ノロウイルスには多くの遺伝 子の型があること、また、培養した細胞及び実験動物でウイルスを増やすこと ができないことから、ウイルスを分離して特定する事が困難です。特に食品中 に含まれるウイルスを検出することが難しく、食中毒の原因究明や感染経路の 特定は難しいようです。
少量(数個から100個程度)でも感染するので、 食べ物だけでなく、人→人、人→器具→人などの感染もあります。 あるホテルでは、ノロウイルス感染者の嘔吐物の 消毒が不十分で、歩くことによりじゅうたんから舞い上がった塵で感染した 例もあります。
気温の低下する冬季(11月〜3月)に多く発生します。
 このウイルスは、人間の体内で増えるので、糞便の中には多量に出て くるため、ちょっと食べ物が汚染されただけでも、中毒が発生します。
 学校、保育園、社会福祉施設など集団生活をする施設で発生した場合は、 集団感染になることがあります。

食べてから症状が出るまでに、通常1〜2日かかります。
 主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱(38℃以下)などです。
一般的には比較的症状は軽く1〜2日で治りますが、まれに1日20 回程度の激しい下痢をすることがありますので、油断は禁物です。
感染してからおよそ8〜36時間後に、吐き気、嘔吐、便秘などがおこります。特徴的なのは、脱力感、けん怠感、めまいを感じることです。症状が進むと、物が二重に見えたり、まぶたが下がったり、言葉が出にくくなります。ときには、尿が出なくなったり、歩くこともできなくなります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に 限られます。
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、次のような感染様式があ ると考えられています。
(1)汚染されていた貝類を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(2)食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家
庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介して
汚染した食品を食べた場合
(3)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを
介して二次感染した場合
(4)家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトか
らヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
などがあります。

  ◆ 予防
 感染性胃腸炎は、多くの場合、患者との接触や、汚染された水、食品によって 経口的に感染します。手洗い、うがいを励行し、日常的に清潔を保つことが重要です。 特に、排便後や調理前は石けんと流水での手洗が大切です。タオルの共用を避ける ことも必要です。
 また、便や吐物の処理をする時は素手で触らず、ビニール手袋を使用してください。 汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を希釈したものを使用してください。
 ウイルスは熱を加えると死滅するので、ウイルスに汚染されている可能性のある食品は、 中心部までよく加熱してください。 食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。

 ⇒ 感染性胃腸炎

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