Subject  : 水ぼうそう(水痘)

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 水ぼうそう(水痘)
水ぼうそう(水痘)とは水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによる感染力が強い感染症の1つで、小さくて隆起した水疱やかさぶたなどから成る特徴的なかゆみのある発疹が生じます。

水ぼうそうは非常に感染力の強い病気です。1995年にワクチンが登場するまでは、子供の約90%が15歳までにこの病気にかかりました。現在では、ワクチンの使用により年間の水ぼうそう患者数は約70%も減少しました。この病気は、水痘帯状疱疹ウイルスを含んだ飛沫の空気感染により広がります。水ぼうそうの患者は症状が現れた直後が最も感染力が強いのですが、最後の水疱がかさぶたになるまで感染力はあります。
水ぼうそうの患者の多くは皮膚と口の中に潰瘍ができるだけですが、ウイルスはときに肺、脳、心臓、関節に感染することがあります。
水ぼうそうにかかったことのある人は免疫ができ、再度かかることはありません。しかし水痘帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうで最初に感染した後は体内に潜伏し、ときどき再活性化して帯状疱疹を起こします。

 【症状】
症状は感染してから10〜21日後に現れます。症状は軽い頭痛、中等度の発熱、食欲低下、全身のだるさ(けん怠感)などです。幼い子供にはこれらの症状はあまり現れないことが多いのですが、成人ではしばしば症状が重くなります。 最初の症状が現れてから約24〜36時間後に、小さくて平らで赤い発疹が現れます。この発疹は通常、胴体と顔にまず現れて、その後腕と脚に現れます。発疹がごくわずかしかできない子供もいますが、そのほかの子供ではほとんど体中にでき、頭皮や口の中にもできます。6〜8時間にわたって各発疹は隆起しはじめ、赤い皮膚を背景にかゆみのある円形で液体のつまった水疱を形成し、最終的にはかさぶたになります。発疹は数日間でき続けてはかさぶたになっていきます。発疹に細菌が感染すると、丹毒、膿皮症、蜂巣炎、水疱性膿痂疹[すいほうせいのうかしん]を起こします。新しい発疹は通常5日目までにはできなくなり、ほとんどが6日目までにかさぶたになって、大半は20日たたないうちに消えます。
口の中にできた発疹は、すぐに破れてヒリヒリ痛むただれ(潰瘍)になり、しばしばものを飲みこむ際に痛みます。痛みのあるただれはまぶた、上気道、直腸、腟(ちつ)にもできます。声帯と上気道の発疹がときに重い呼吸困難を引き起こすことがあります。首の横にあるリンパ節が腫大し、さわると痛むこともあります。この病気の最悪な時期は4〜7日間続きます

 【予防接種と治療】
子供は12カ月齢から水痘・帯状疱疹に対する定期予防接種を受けます。水痘・帯状疱疹に対する免疫がない人は、だれでも予防接種を受けられます。免疫機能が低下している人や妊婦など合併症にかかるリスクが高い人、水ぼうそうにかかっている人と接触した人は、水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗体(水痘帯状疱疹免疫グロブリン)を投与されることがあります。

軽症の水ぼうそう患者の場合、必要なのは症状に対する治療だけです。皮膚に湿布をあてることは、皮膚のかゆみが強くなるのを和らげ、引っかいて感染を広げ瘢痕を残すことがないよう予防するのに役立ちます。細菌感染症のリスクがあるため、皮膚はせっけんと水で頻繁に洗う、手は清潔に保つ、爪は引っかき傷をつくらないようにできるだけ短く切る、衣類は清潔で乾いた状態に保つ、などを心がけます。抗ヒスタミン薬などのかゆみを軽減する薬剤を内服することもあります。細菌感染症が起きたときには、抗生物質による治療が必要です。
アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬を、早産児と免疫機能障害のある子供など合併症の高リスク群はもちろん、青年期の若者と成人にも投与することがあります。これらの薬剤で効果を得るには、発症から24時間以内に投与しなくてはなりません。これらの抗ウイルス薬は妊婦には用いません。

 ⇒ 感染症の種類

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]