Subject  : 薬疹

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 薬疹
薬剤使用中および使用後に生じた皮疹は薬剤を疑うことが重要です。少しでも“おかしい”と感じたら、すぐに薬の使用を中止して、医師の診察を受けることが大切です。薬剤使用中は、発熱、目の充血、粘膜や口唇のただれ、皮膚のかゆみ、違和感、皮膚の発赤など微細な変化にも注意してください。

薬疹発症は、他の因子が関与することも多いです。 例えば日光(紫外線)暴露により、スパラ、テトラサイクリン、グリセオフルビン、モーラスなどが薬疹を起こすことがあります。また、プロポリス、アガリクス、生しいたけは皮疹が出やすいし、アルコールは多くの薬剤との相互作用あります。

場合によっては、重症型薬疹になる場合もあります。
スチーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson)すなわち、SJSは、 表皮の壊死性障害に伴う水疱、びらん病変が体表面積の10%未満の場合。目・呼吸器の後遺症が出る場合があります。
中毒性表皮壊死症 (Toxic Epidermal Neclolysis;TEN)は、SJSから移行する場合も多い。 表皮の壊死性障害に伴う水疱、びらん病変が体表面積の10%以上の場合。死亡率20〜30%。
薬剤性過敏症症候群(Drug-Induced Hypersensitivity;DIHS)は、ヒトヘルペス6型HHV−6の再活性化を伴う。薬剤アレルギー+ウイルス感染が関与。抗けいれん薬、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルホン、アロプリノールなど。

 ■ 薬疹の分類
薬疹の分類 原因薬剤 メモ
固定薬疹 解熱鎮痛消炎剤(ピリンなど)
抗生物質
睡眠剤
抗けいれん剤
精神神経用薬
下剤
同じ部位に繰り返しできる。多くは色素沈着を残す。時に水疱をみる。
じんましん型 抗生物質(ケフラール、ペニシリンなど)
化学療法剤(サルファ剤)
解熱鎮痛剤(アスピリンなど)
局所麻酔剤
造影剤
薬剤を使用して数分以内に現れる。時にショック症状。
播種性紅斑丘疹型 抗生物質(ペニシリン、セフェムなど)
睡眠剤
解熱鎮痛剤
リウマチ治療薬(金製剤)
精神神経用剤
化学療法剤(サルファ剤)
利尿剤
ほぼ全身均等に紅斑、丘疹が出る。
湿疹型 抗真菌剤、
消毒剤(ヒビテン)
抗生物質、
化学療法剤
ステロイド剤
抗ヒスタミン剤
接触性皮膚炎の様な多彩な皮疹、かゆみが強い、リンパ腺腫大。
パッチテストで陽性が出やすい。
紅皮症型 リウマチ治療薬(金製剤)
抗生物質(ペニシリン、グリセオフルビンなど)
睡眠剤
解熱鎮痛剤
痛風治療剤
精神神経用剤
化学療法剤(サルファ剤、抗結核剤)
利尿剤
全身が赤くなり、落屑(皮がめくれる)。肝臓、腎臓障害を伴うことがある。
多形紅斑型 抗生物質(ペニシリン、テトラサイクリンなど)
化学療法剤(サルファ剤)
解熱鎮痛剤(ピリン、アスピリンなど)
睡眠剤
ワクチン
滲出性の紅斑がたいてい左右対称に出る。
粘膜皮膚眼症候群型 抗生物質(ペニシリン、テトラサイクリンなど)
化学療法剤(サルファ剤)
解熱鎮痛剤(ピリン、アセトアミノフェンなど)
睡眠剤
ワクチン
多形紅斑の皮疹の他に眼瞼、外陰部、口唇にもびらん、紅斑などが出る。
中毒性表皮壊死剥離型
(TEN)
抗生物質(セフェム、ペニシリン、テトラサイクリンなど)
化学療法剤(サルファ剤)
解熱鎮痛剤(ピリン、アセトアミノフェン、ボルタレンなど)
睡眠剤
痛風治療剤
抗けいれん剤
死亡率が高い。薬剤摂取後、急に発熱、倦怠感、リンパ腺の
腫脹などを伴い、紅斑、水疱、表皮剥離(熱傷様)が体の広い
範囲に生じる。早急な入院治療が必要。
初期の鑑別に咽頭の発赤が参考になる。
acute generalized exanthematous pustulosis
(AGEP)
抗生物質(ミノマイシン、ペニシリン、マクロライド系など)
非ステロイド系消炎剤
(特にアトピーの際のアンダーム軟膏)
間擦部に生じる紅斑、多数の無菌性膿疱を認める。
症状や検査所見は重症を思わせるが、予後は良好なことが多い。
扁平苔癬型 降圧剤
刺激療法剤(金製剤)
利尿剤
精神神経用剤
不整脈治療剤
手背、両上肢の日光に当たる部位に初発することが多い。
かゆみが激しい。
発病まで数ケ月かかることもしばしばである。
水疱型 睡眠剤
化学療法剤
固定薬疹、
多形紅斑型、
粘膜皮膚眼症候群型、
中毒性表皮壊死剥離型(TEN)の症状の初期症状と鑑別が重要。
紫斑型 リウマチ治療薬(金製剤)
抗生物質(ペニシリン、クロラムフェニコールなど)
睡眠剤
解熱鎮痛剤
痛風治療剤
精神神経用剤
化学療法剤(サルファ剤)
抗癌剤
利尿剤
血液障害による場合と血管壁の障害による場合がある。
色素沈着型 経口避妊薬
化学療法剤(サルファ剤)
降圧剤
抗癌剤
精神神経用剤
メラニン色素や薬剤その物の色。
ニキビ型 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
蛋白同化ホルモン
抗結核剤
睡眠剤
背部に多い。時に顔面。
光線過敏型 抗生物質(スパラ、テトラサイクリン、グリセオフルビン)
利尿剤
糖尿病剤
精神神経用剤
化学療法剤(サルファ剤)
顔面、頚部、手から上肢などの日光にあたる部位にできる。
色素沈着や白斑を残すことがある。
結節性紅斑型 化学療法剤(サルファ剤)
抗生物質(テトラサイクリン、セフェム)
経口避妊薬
下腿伸側の有痛性の紅斑、しこり。
SLE型 降圧剤
不整脈治療剤
抗けいれん剤
抗結核剤化学療法剤(サルファ剤)
抗生物質(テトラサイクリン、ペニシリン、グリセオフルビン)
発熱、リンパ腫大、関節痛などを伴う。
脱毛 抗癌剤
エトレチネート
抗甲状腺剤
主に頭髪。
多毛 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
抗けいれん剤
四肢、体幹時に顔面。
乾癬様皮疹 βブロッカー
角化異常 砒素
その他(以外に多い印象を持っています)
掌蹠に角化が起こる。

 ⇒ 皮膚疾患

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