首都圏などの大都市圏で、ヒ−トアイランド現象と名付けられた現象が現れています。 都市では高密度のエネルギ−が消費されており、加えて都市の地面の大部分はコンクリ−トや アスファルトなどの乾燥した物質で覆われているため水分の蒸発による温度の低下がなく、 日中蓄えた日射熱を夜間に放出するため、夜間気温が下がらない状態になります。 この結果、都市部では郊外と比べて気温が高くなり等温線を描くとあたかも都市を中心とした 「島」があるように見えることから、ヒ−トアイランド現象と呼ばれている。
原因としては、都市部を覆うコンクリートや舗装道路は日射を吸収しやすいこと、 冷暖房等の人工的な熱の発生、緑地が少なく水分蒸発による温度低下がない、高層建築により寒気がしにくい、汚染物質による温暖化効果、など。 近年、都市部で、短時間に猛烈な雨が降る現象が見られるようになってきたが、これもヒートアイランドが原因になっていると考えられている。
このような現象は東京などの大都市ではすでに日常生活の中で実感できる程までに
なっています。例えば東京の年平均気温を見ると、1870年代の約14℃からこの120年の
間に2℃も上昇し、年平均湿度も約77%から約63%に下がっており、ヒ−トアイランド現象が
その一因と考えられている。特に夏には、エアコンの排熱が室外の気温をさらに上昇させ、
また上昇した気温がエネルギ−需要をさらに増大させるという悪循環を生み出しています。
これに対し、緑地は、植物が葉面から水が蒸発する際に周りの熱を奪うため気温を
調節する機能を持ち、都市内河川や海域などの水辺もヒ−トアイランド現象を緩和する
効果を持っているといわれています。