Subject  : ヒートポンプ(heat pump)

カテゴリー : 環境、エネルギー 


 ヒートポンプ(heat pump)
ヒートポンプとは、その名の通り、空気中などに散らばっている熱を汲み上げるポンプのこと。自然の熱をかき集め、熱エネルギーに転換する仕組みを指します。

 元になる原理は、気体には圧縮すると温度が上昇し、膨張すると温度が下降する性質があるというもので、1824 年にフランスの物理学者カルノーが発見しました。この単純な原理を用いて、大気や水などの熱を集め、冷却または加熱に用いるシステム、それが、ヒートポンプなのです。

 ヒートポンプは、昔から冷蔵庫やエアコンなどの冷却用として広く使われてきました。あなたの自宅のエアコンにも、ヒートポンプは使われているはずです。技術革新により、その用途も冷房から暖房、給湯などへと広がり、そして近年は、地球温暖化防止の観点からも、大きな注目を集めています。

 ヒートポンプは火をたかずにエネルギーを得るシステムであるため、二酸化炭素(CO2)を排出しません。地球温暖化の原因の一つは、人間が排出するCO2などの温室効果ガス(GHG)だということが、ほぼ断定されています。通常、燃焼式システムの場合、暖房や給湯用に熱をつくる場合は、主に化石燃料を燃やすことによって熱を生み出すため、CO2が発生します。これに対して、ヒートポンプは少しの動力で、空気中などに存在する無尽蔵の熱を取り出しますから、CO2削減に大きな効果があるのです。

● ヒートポンプの種類
個人向けの製品としては、「高効率ヒートポンプエアコン」、「ヒートポンプ洗濯乾燥機」、「高効率冷蔵庫」、「ヒートポンプ給湯機」、「ヒートポンプ床暖房システム」などが実用化されていますし、商業施設向けでは、空調設備に利用される「高効率ヒートポンプ」、「業務用ヒートポンプ給湯機」、ヒートポンプでつくり出した熱を蓄熱して効率よく利用する「蓄熱式ヒートポンプ」などがあります。
 工場や都市開発の分野では、工場での排熱を利用する「未利用熱利用ヒートポンプ」がありますし、ヒートポンプによる「プロセス冷却・加湿システム」も利用されています。電気を蓄える「蓄電池(NAS電池)」とヒートポンプを組み合わせたシステムや、身近なところでは、ヒートポンプで温度調節を行う「ヒートポンプ式自動販売機」といったものまであります。また、中小規模の事務所ビルや工場向けには、都市ガスやプロパンガスで動力を賄う「ガス式ヒートポンプ(GHP)」があります。
 ヒートポンプは、冷媒と呼ばれる物質が圧縮・膨張を繰り返すことで熱を運ぶシステムですが、オフィスビルなどで利用する大型冷房分野では、冷媒を高速回転させて遠心力で圧縮する「ターボ冷凍機」や、外気温の変化に応じて、冷媒を圧縮するコンプレッサの回転数を制御する、「インバータ式ヒートポンプ」も登場しています。
 また、空気の熱ではなく、地中熱や河川、海水、下水などの熱を利用するヒートポンプにも、さまざまなものがあります。このように、すでに多くのヒートポンプが市場に出回っており、その応用範囲は非常に広範にわたっています。
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