Subject   : 呼吸

カテゴリー  : 学びの館 > 生化学 


 呼吸
呼吸(こきゅう)には「外呼吸」と「細胞呼吸」の二種類の意味が あります。
外呼吸とは、多細胞生物体が呼吸運動によって外界から酸素を 取り入れ、体内で消費することです。 多細胞生物が酸素を利用するには、全身の細胞にくまなく 酸素を行き渡らせるため、血液によって酸素を運搬する必要が あります。脊椎動物では、血中のヘモグロビンがこの役割を担っています。
血中への酸素取り込みは、魚類はエラ呼吸で、陸上脊椎動物は肺呼吸で 行います。肺呼吸の場合は、肺には出口がひとつしかないため吸気、 呼気を繰り返すことで定期的に肺内の空気を交換しなければ なりません。このために行う胸郭運動を呼吸運動と呼びます、 人間では、延髄に呼吸運動の中枢があり随意運動であるものの睡眠中も不 随意に呼吸運動が保たれています。

● 細胞呼吸
細胞が最終電子受容体として酸素を用い、二酸化炭素を放出する異化代謝系。
酸素は地球誕生時の大気には存在していなかった。しかし、原始の海に生命が発生し、光合成を行うものが出現したことで大気には徐々に酸素が蓄積された。 本来、酸素は強い酸化力をもった毒性の強い気体である。しかし、一部の生物は酸素を利用した酸化過程を通じて大きなエネルギーを利用できるようになった。現在、酸素を利用した代謝のできる生物は細胞内のミトコンドリアにより炭水化物を酸化し、最終産物として二酸化炭素と水を排出する。 青酸(シアン酸)はミトコンドリアの電子伝達系を阻害するため、好気的な生物にとって猛毒である。
狭義には好気呼吸(こうきこきゅう)、酸素呼吸(さんそこきゅう)など酸素を用いる呼吸となる。広義には細胞のおこなう異化代謝系すべてを指すが、狭義に用いられる場合が多い。
高校生物で学習する呼吸の収支式では、
C6H12O6+6H2O+6O2+38ADP+38Pi → 6CO 2+12H2O+38ATP
で表されています。実際は、きわめて多くの反応がこの式には 関わっており、反応の数が多いことがグルコースの持つエネルギーの有効利用(効率にして40%と言われる)に役立っている。ただし、ATP合成酵素で生産されるATPの数量については、実際の値としては不定である場合が多く、この式では平均値を取っている。

最終電子受容体を酸素として用いる呼吸を『好気呼吸』それ以外の無機物を用いるものを『嫌気呼吸』という。化学合成独立栄養の場合は、多くは酸素を最終電子受容体として用いるが、嫌気呼吸の電子伝達系を併せ持つものも存在する。なお、嫌気呼吸の電子受容体には硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、二価鉄等の無機物や、トリメチルアミンオキサイド(TMAO)やジメチルスルフォキシド(DMSO)といった有機物を用いるものもある。
基質レベルのリン酸化は解糖系およびクエン酸回路で発生する。またそのとき生じた還元型ピリジンヌクレオチドは電子伝達系を通って、ATP生成に使用される。基質レベルのリン酸化ではわずかグルコース1分子辺り4分子のATPしか生成し得ないが、電子伝達系においては平均して34分子のATPが生産可能である
 ⇒ 呼吸器系

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