Subject   : コロイド

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 コロイド
 昔は,溶質が分子やイオンの状態で分散しているものを普通の溶液とし, 分子やイオンが集まって顕微鏡では見えない程度の粒子となって分散している ものをコロイド溶液としていた。 しかし,今日では高分子化合物が知られ,これらは1つの分 子がコロイド粒子となっている。また,線状や板状のコロイドが知られているので, 粒子の直径だけでコロイド粒子を定義することが困難になった。それでシュタウジン ガーの説に従い,原子数が103〜109個ぐらいのものをコロイド粒子というようになっ た。粒子を分散させる物質を分散媒、  粒子として分散している物質を分散質といいます。 直径1〜100nm(1nm=1×10−9m)程度の大きさの粒子となって均一に分散する状態をコロイドといいます。

また,次表のように分類されます。

名称 コロイド粒子 分散質の特徴 メモ
分子コロイド 1個の分子 高分子化合物 卵白,うすいのり,豆乳, ゴムのり,寒天,ゼラチン
ミセルコロイド
(会合コロイド)
多数の分子・
イオンの集合体
会合しやすい 分子やイオン セッケン水,色素溶液, 界面活性剤水溶液
分散コロイド 固体を分散 不溶性固体 金属ゾル,硫黄ゾル,水酸 化鉄(III)ゾル

色ガラス,ルビー、金属ゾル,泥水 、煙、霧,もや などもコロイドです。

■ チンダル現象
 コロイド粒子により光線が散乱され,光の通路が輝いて見える現象。 コロイド粒子が光を強く散乱するために起こります。 普通の分 子もわずかに散乱するが,コロイド粒子に比べてずっと弱い。この現象は, 1868年,イギリスのチンダル(1820〜1893年)が発見し,彼は空が青色を示すこと をこの現象から説明した。図50は,水,Fe(OH)3コロイド水溶液,CuSO4水溶液, デンプン水溶液に右側からレーザー光を当てたもので,Fe(OH)3コロイド水溶液と デンプン水溶液では光の通路が輝いて見える。これは,レーザー光が散乱された ためで,コロイド粒子の大きさが原因である。

■ ブラウン運動 
コロイド粒子が不規則に動く運動です。熱運動している溶媒分子がたえずコロイド粒子に衝突するために起こります。
 イギリスの植物学者ブラウン(Robert Brown,1773〜1858年)が,1827年に植物の花粉 から生じた微粒子について発見したのであるが,初めは生命力に基づくものと誤解さ れていた。ブラウン運動は粒子が小さいほど激しく,粒子の平均速度はボルツマンの 分布則に従い,溶媒の分子と同じ運動のエネルギーをもって運動している。  コロイド粒子は重力によって下に沈もうとするが,一方ではブラウン運動によっ て拡散しようとする。したがって,コロイド粒子の分布は下のほうほど濃くなるは ずである。スウェーデンのスウェードベリ(Svedberg)は超遠心分離機で重力の 10000〜300000倍の遠心力を作用させ,コロイド粒子を沈殿させた。その沈降速度 からタンパク質などの粒子の分子量を算出することができる。
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