Subject   : 組織学的変化による炎症の分類

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 組織学的変化による炎症の分類
炎症は白血球が組織に侵入して,あばれている状態、。炎症をおこしている白血球を炎症細胞といいます。

● 滲出性炎症
滲出性変化が目立つ炎症 のこと。
● 漿液性炎
血清成分とほぼ同じ成分の滲出物で細胞成分が少ない。火傷や虫刺されの場合の水疱や蕁麻疹などのアレルギー性の腫脹がこれにあたり、炎症がおさまると漿液は吸収されて多くの場合後に変化を残さない。
● カタル性炎
消化管、鼻腔や気管支などの粘膜の表層に漿液性炎症が起きた場合に、それと同時に粘液の分泌が亢進し、著明な粘膜上皮の剥離が起きた状態。
● 線維素性炎
血管透過性の亢進が高度になり、滲出液の中に多量の線維素を含む場合をいう。この型の炎症は肺胞腔、体腔及び粘膜に起きやすい。たとえば、大葉性肺炎では滲出液が吸収された後に、肺胞腔内に形成された線維素網の分解、吸収が不十分な場合は器質化がおきて線維組織によって置き換えられる。
● 化膿性炎
多数の好中球浸潤と黄色〜黄緑色、不透明で粘調な膿pusと呼ばれる滲出液の産生を特徴とする。ブドウ球菌や緑膿菌の感染でおきる。膿瘍abscessと蜂巣炎(蜂窩織炎phlegmon)とに分けられる。
● 壊疽性炎(腐敗性炎)
壊死に陥った組織がさらに腐敗菌の感染をうけ、腐敗分解が進行してアンモニアやアミン類などが産生され、壊死に悪臭のある腐敗現象が加わった場合を言う。嫌気性菌であるガス産生菌に感染すると、組織内に多数の気泡が見られるのでガス壊疽と呼ばれている。
● 出血性炎
炎症巣において著しい出血がみられる場合を言う。インフルエンザ肺炎における肺胞内出血などがある。
● 増殖性炎症(productive inflammation)
組織の線維成分や実質細胞の増殖が目立つ炎症
● 肉芽腫性炎
肉芽種(マクロファージ、類上皮細胞、多核巨細胞の増生からなる結節性の肉芽)の形成を特徴とする炎症。

また、特殊な病原菌によって生じた炎症を特異性炎とよぶ(結核、サルコイドーシス、梅毒、など)
 急性炎症と慢性炎症
急性炎症とは、 急激に発症し、早期に終息する炎症反応。 慢性炎症とは、 急性炎症の原因物質がうまく処理されずに炎症反応が長びく場合や、炎症が緩やかに発症して長期にわたって炎症反応が持続する状態。      急性炎症と慢性炎症の間に一般的な時間的定義があるわけではないが、肝炎を例にとると、1〜3ヶ月で終息するものを急性肝炎といい、6ヶ月以上に渡って肝機能異常が継続する場合を慢性肝炎という場合が多い。
急性炎症のもつ3つの主要な構成要素、すなわち
(1)血管拡張による血流量の増加
(2)血漿タンパク質や白血球が血管外に出やすくなるような微小血管の構造の変化
(3)白血球の微小血管からの遊走と障害部位への集積
に対応して急性炎症の5主徴とよばれる特徴ある症状が現れます。すなわち(1)により炎症局所の発熱、発赤、が起こり、(2)によりタンパク質に富んだ」細胞外液が増加することにより腫脹が起こります。また、これらに加えて炎症反応の中で走化および貪食の経過中に活性化された白血球が放出した代謝産物やプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が疼痛、機能障害を引き起こします。

 【参考】 http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~byouri2/

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