Subject : がんの撃退方法
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
がんの撃退方法
-
無制限に増殖するがん細胞の増殖を止め、死滅させることが治療となります。具体的には、外科的に除去したり、放射線療法や化学療法により細胞死を誘導する方法が現在のがん治療の中心です。現在使われている化学療法を大きく分けると以下のようになります。
- ● 増殖を止める
-
増殖因子の働きを抑制する。乳がんにおけるエストロゲンを抑えたり(タモキシフェン)、慢性骨髄性白血病の原因タンパクの Bcr-Ablを阻害するなど、いわゆる「分子標的薬」が最近では開発されています。ターゲットを絞り込み高い効果と副作用の低減を期待されています。乳がん治療に関してはここ数年、エストロゲンの産生を抑え、より副作用が少なく再発リスクが低いアロマターゼ阻害剤が登場しました。都立駒込病院では患者さんの半数以上がこの新しい薬剤を選択しているということです。
- ● 細胞分裂を阻害する
-
タキソン系といわれ、細胞分裂装置のかなめである紡錘体微小管の形成を阻害、または固定します。がん細胞は盛んに分裂するため、特異的にこの薬剤の作用を受けいずれ死に至るが、一部の神経細胞などを除き正常な細胞ではほとんど影響を受けません。
- ● 細胞の代謝阻害
-
5-フルオロウラシルなど
- ● 細胞障害と細胞死を誘導する
-
アルキル化剤(シクロフォスファミドなど)、白金誘導体(シスプラチン)、カンプトテシン誘導体、エトポシドなど、現在使われているほとんどの薬剤がこの分類になります。その主な標的はがん細胞のDNAと考えられます。ブレオマイシンは日本で開発された抗腫瘍抗生物質であるが、これもDNAがターゲットと言われています。これらはDNAを修飾、損傷、切断することにより細胞本来がもっている監視機構を活性化し、細胞死(アポトーシス)を誘導します。同時に、フリーラジカルを産生しもう一つの細胞死(ネクローシス)を誘導するものもあります。
がん細胞のDNAを狙って、正常細胞にできるだけ損傷を与えずに攻撃する方法が次々と試験され、実用化されてきました。一方で、がん細胞では通常複数の変異があるため、DNA損傷から細胞死誘導の監視機構がうまく働かず、狙った効果が得られないこともあります。また、効果があるものの副作用が深刻なもの、効果や副作用に個人差の大きいものもあります。
- ● 免疫機能の向上
-
インターフェロンや癌マーカー特異抗体など
⇒
神経系
[メニューへ戻る]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]