Subject   : BCM(Biochemical Modulation)療法

カテゴリー  : 学術情報 > 薬学 


 BCM(Biochemical Modulation)療法
癌化学療法の進歩発展は腫瘍選択性の大きい新しい抗癌剤の開発とその有効利用法の開発に支えられています。 抗癌剤同士または他剤との併用でbiochemical modulationの考え方に基づいた新しい治療法の研究開発が進められています。
 抗癌剤(effctor)にある薬剤(modulator)を併用し、抗癌剤の薬理的動態を変化させ、抗癌剤の効果を特異的に増強したり、抗癌剤の毒性を特異的に軽減したりすることをBCM療法といいます。

ある抗癌剤を、使用する前・同時・後に別の薬剤(抗癌剤、その他)を併用することによって、抗癌剤の薬理動態が変化し、その抗腫瘍作用の増強や副作用の軽減につながる減少を指しており、最近になって種々の他剤と抗癌剤の併用療法でもこの言葉が使えわれています。

1,抗癌剤の活性化を促進または不活化をすることにより抗腫瘍効果を増強したり、
2,正常細胞への毒性を軽減しつつ腫瘍細胞に対し抗腫瘍効果を高める方法などがある。

後者の例として古くから大量MTX・ロイコボリン救援療法があるが、BCMの概念が脚光をあびるようになったのは、前者のMTX・5−Fu交代療法が報告されてからである。
MTXを先行投与、一定時間後に5−Fuを投与すると投与順序依存的に相乗効果が得られる時間差療法である。

主抗癌剤 効果修飾剤
MTX ロイコボリン、L-アスパラギナーゼ、チミジン
5-Fu MTX、ロイコボリン、アロプリノール、ピリミジン
テガフール ウラシル
キロサイド MTX、チミジン
マイトマイシンC
(MMC)
タチオン、ブレオ
アドリアシン セファランチン、Ca拮抗剤
シスプラチン チオ硫酸Na

 ● 大量メソトレキセート(MTX)とロイコボリン
 MTXによる細胞毒性は、ロイコボリンがMTXの濃度以上に細胞内に取り込まれることにより救援されることが分かっています。これはMTX大量処理により。腫瘍細胞内に入ったMTXが殺細胞効果を現すように、ロイコボリンの与薬時間をやや遅れさすのがポイントとなっています。MTXがかなり高濃度でも与薬48時間以内なら毒性はロイコボリンで軽減できます。

 ● MTXと5-Fu
 MTX処理のより葉酸の活性化に変化が生じ、結果的にDNAがより強く阻害されること、また5-Fuの腫瘍RNAへの取り込み量が増加し、RNA機能が阻害されることが報告されています。

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