Subject   : 錐体細胞と桿体細胞

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 錐体細胞と桿体細胞
網膜には桿〔かん〕体細胞、錐体細胞の2種類の視細胞があり、 この細胞を通じて視神経経由で視覚情報が大脳に送られ、視覚となる。 桿体細胞は暗所で機能する。光に対する感度が高い。錐体細胞は、明所で機能する。 光に対する感度は低いが色彩の識別が可能である。

錐体細胞はものをはっきり見る機能と色を感じる機能をもち、主に黄斑部に存在しています。桿体細胞は、暗い所でものを見るための機能と周辺視野の機能をもっています。この桿体細胞は錐体細胞よりもはるかに数が多く、光に対する感度も高いのですが、色を感じる機能はもっていません。また、桿体細胞は主に網膜の周縁部に集まっていて、錐体細胞と異なり、像を鮮明に見る働きはありません。

人間の目の色を認識する細胞を「錐体細胞」と言い、片目におよそ650万個存在する。人間の目は2個あるため、倍の解像度を持ちそうだが、左右の差異は立体視に用いるため、それによって解像度が増すとは評価しがたい。大まかに言って、650万画素のデジカメと同等の性能と言える。

一方、明暗を認識する「桿体細胞」は片目に約1億2000万個も存在する。色の認識に比べおよそ20倍も高性能だ。このような目の構造のため、人間の目の評価はモノトーン表現の評価眼が非常に厳しい。一般人はカラー写真より白黒写真のほうがアラが目立たないと思いがちだが、実は、写真を真顔でやっている人間は、白黒の方がごまかしが利かないことを理解しているが、これは明暗に敏感な目の構造に起因するわけだ。

目で捉えた光は視神経により脳に伝達され、認識される。この視神経は約120万の神経繊維で構成されている。つまり瞬間的に脳に伝達できる映像は120万画素程度だと言うことだ。非常に性能が低いように見えるがそんな事は無い。何故なら、人間は目に映った一瞬を脳内で結像しているわけではないからだ。人間は前後数コマ分の映像を脳内で結合し、それらを脳内で画像処理することによって視界を結像している。また、そもそも伝達時にも視界全体を120万画素の精度で送っているわけではない。さっきのコマと比較して映像の変化した部分を更新し、変わっていない部分は送らず、細かく見ようとしている箇所の情報を率先して送るなどしている。なお、液晶に残像を感じる原因の半分はこの視神経伝達方式に依存するものであるが、ここでは触れない。

また、人間の目はパンフォーカス(ピント固定)ではなく、遠近にピントを合わすことが出来るため、画素数こそ固定であっても、望遠-マクロ調節に優れ、近くのものであればかなり細かいものも視認可能だ。したがって、眼球の視細胞数や視神経の伝達速度ではなく、目の分解能、つまり先日から話しているdpiにあたる性能を計る必要がある。

人間の錐体細胞(S,M,L)と桿体細胞(R)が含む視物質の吸収スペクトル視覚系の感度は、光の波長によって異なる。ヒト視覚系の視感度は、明所視では555 nmでピーク値をとる。このときの感度を基準として、他の波長の光に対する感度を求めると、可視光全体に対する比視感度が求まる。暗所視では507 nmの光に対して最も感度がよい。暗所では感度曲線が短波長側にシフトしている。この事実をプルキンエシフトとよぶ。放射輝度と視感度をかけ合わせた値を輝度とよぶ。

近距離で十分な照度条件下であれば、視力1.0の人間の目の検出限界は50マイクロメートル程度だと言う。1マイクロメートルは、1/1000ミリメートル。つまり50マイクロメートルは2万分の1ミリだ。1インチが2.54cmであることから、人間の目が認識できるdpiは、20,000 x 10 x 2.54 = 約50万dpiであることが分かる。また、条件によって認識力は異なり、10マイクロメートル程度の細さであっても、毛のように長いものであれば認識可能であるし、黒い紙などから漏れる光であれば、5マイクロメートル程度でも認識可能であるという。つまり50万〜500万dpiまで対応できると言えるだろう。

 ⇒ 眼球の内部構造

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