Subject   : 感染症の遺伝子検査

カテゴリー  : 学術情報 


 感染症の遺伝子検査
ヒトのからだに悪影響を与える病原微生物の遺伝子の塩基 配列を調査し、知っておくことは非常に大切なことです。

なぜなら、それぞれの病原微生物の遺伝子の塩基配列を調査する ことによって、その病原微生物の種類や薬剤耐性、病原性まで正確 に確認できるからです。
そしてヒトのからだに存在するはずの無い病原微生物の遺伝子配列 をからだから排出する喀痰や精液、尿などから発見することによって その病原微生物に感染しているかどうかが判定できます。
遺伝子検査によって正確に病原微生物の種類や薬剤耐性などの情報 を得ることが出来るので、その病原微生物に適した薬を処方できます。
そして、遺伝子検査の最大の利点はこれらの病原微生物の遺伝子を 検出する感度が高く、しかも従来の培養検査よりはるかに早く結果が 判る事です。つまり、早期発見、早期治療が可能となります。

 ● 呼吸器感染症
結核菌や、免疫力が低下すると かかりやすいカリニ、サイトメガロウイルス、そしてクラミジア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 、風邪の症状に良く似たマイコプラズマなどが対象になり、喀痰や気管支洗浄液から検出します。

 ● 性感染症
クラミジアやヒトパピローマウイルス、 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、淋菌、エイズウイルスなどが検出できます。

 ● 消化管感染症
糞便中から食中毒で有名な 0-157、赤痢、サルモネラなどが検出できます。

 ● 血液感染症
血液中からHTLV−T、HIV−T、マラリア、CMVなどが検出できます。

 ● その他
各種HCV、HBV、HGVなどの肝炎ウイルスが検出

 ▽ 結核菌の場合
まず、患者さんの喀痰を出してもらい、その喀痰の中に結核菌の遺伝子つまり DNAが存在するかどうかをPCR法を行いて増幅して検査します。
前もって結核菌が存在すれば結核菌のDNA(遺伝子)の特定領域が増幅できる ように設計されたプライマー(20個程度の塩基配列)を作成し、そのDNA領域を増幅します。
しかも、そのプライマーには発色物が結合できるように設計されており、さらには後に結核菌のDNA(遺伝子)だけを回収しやすいように、非常に小さな磁石付着させたプローブと言う結核菌の特定領域に結合する塩基配列を反応させます。
この増幅した結核菌のDNAにプローブを結合させることをハイブリダイゼーションと言います。
そして、増幅して回収された結核菌のDNAに紫外線を当てて発色させコンピュータ制御された機械で測定し、数値化します。
最終的には喀痰の中に結核菌のDNAが存在すれば一定の数値以上を示して結 核菌の存在が証明されます。
これらの遺伝子検査は非常に簡潔な操作で済み、しかもコンピュータ処理されるので結果はその日のうちに判明します。
 ⇒ 遺伝子検査

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