Subject   : FRET(fluorescence resonance energy transfer)

カテゴリー  : 学術情報 


 FRET(fluorescence resonance energy transfer)
蛍光は,発光と違って自ら光を放つわけではない。ある領域の光を吸収して,そのエネルギーを別の領域の光として放出するのが蛍光です。

たとえば,紫色光を吸収して青色光を放出する蛍光タンパク質Aと,青色光を吸収して黄色光を放出する蛍光タンパク質Bとがあるとする。この2種類の蛍光タンパク質が非常に近い距離にあるとき,紫色光をあてると黄色光を放出する。タンパク質Aが紫色光を吸収して青色光を放出するが,その青色光をタンパク質Bが吸収して黄色光を放出するのである。このような現象をFRET(fluorescence resonance energy transfer)という。
あるタンパク質分子Xに上記の蛍光タンパク質Aを,別のタンパク質分子Yに上記の蛍光タンパク質Bを,遺伝子操作によっていっしょにつくられるようにする。このような状態で,紫色光をあてると,分子Xと分子Yとが近いときには,FRETによって黄色光を放出し,十分に離れているときには青色光を放出する。
このようにすることで,2つのタンパク質分子が接近して影響し合っているかどうかを調べることができる。生命活動の研究では,分子どうしがどのようにかかわっているかを,生きたままの状態で知ることが大変重要である。蛍光タンパク質を組み合わせることで,それを確かめることができるのだ。

さらに,カルシウムイオンの濃度などをはかることも可能になった。カルシウムイオンの濃度によって,形を変えるタンパク質がある。これに上記の2種類の蛍光タンパク質を,遺伝子操作でいっしょにつくられるようにする。このようにすると,カルシウムイオンの濃度によって2種類の蛍光タンパク質の位置が変わり,蛍光色が変化する物質ができる。これを使えば,蛍光色の変化によってカルシウムの濃度をわかる。
 ⇒ 遺伝子検査

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]