Subject   : スピン角運動量(spin angular momentum)

カテゴリー  : 学びの館 > 物理 


 スピン角運動量(spin angular momentum)
 スピン角運動量(spin angular momentum)は、電子やクォークなどの素粒子、およびそれらから構成されるハドロンや原子核や原子などの複合粒子が持つ角運動量で、量子力学的な自由度の 1 つである。単にスピンと呼ばれることもある。軌道角運動量は粒子の運動によって生じる角運動量だが、スピン角運動量は粒子が本来持っている角運動量なので、位置と運動量で記述することができない。スピン角運動量は軌道角運動量とともに、粒子の全角運動量に寄与する。

 基本変数を「粒子の位置と運動量」とする量子論ではスピンを記述することができないため、粒子が持つ「内部自由度(固有角運動量、内部角運動量とも呼ぶ)」としてスピンを基本変数に付け加える。この「位置と運動量とスピンなどの足りないもの」を基本変数とする量子論が「量子力学」である。基本変数を「場とその時間微分または共役運動量」に選ぶ量子論、つまり「場の量子論」では電子は粒子ではなく「電子場」として記述され、電子場は電磁場の「偏光」(電磁場の向きが右回りに回転するか左回りに回転するか)に似た属性を持つ。これがスピンであり、場の自転のようなものなので、角運動量を伴う。その角運動量ベクトルで、スピンの向きと大きさを表す。このスピンの例でわかるように、古典的に場であったもの(電磁場など)だけでなく、電子のような古典的には粒子とみなされてきた物理系であっても、場を基本変数にしたほうが良く、適用範囲も広いことが判っている。

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 ⇒ スピンとアイソスピン

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