Subject   : 国民所得(NI)

カテゴリー : 政治・経済


  国民所得(National Income)
  国民所得とは、一国の国民が財貨・サービスなどを一年間の生産活動により、どれだけ生み出したかを要素価格で計算したもので、国民経済計算(新・SNA)に掲載されています。

 国民所得には市場価格で計算されたものもありますが、国民所得といえば要素価格表示のものをいいます。市場価格とは時価のことで、要素価格表示にするには間接税を差し引いて補助金を加えます。また、国民所得は「純」の概念であり、国民総生産、国内総生産等の「総」の概念との違いは、固定資本減耗を含まないということです。したがって、国民所得は国民全体の純付加価値額を表しています。

 国民所得は雇用所得と営業余剰、海外からの純要素所得の合計で表されます。雇用所得とは労働への報酬(給料)を、営業余剰とは資本への報酬(企業の儲け)を意味し、海外からの純要素所得とは、海外の雇用者所得と財産所得の合計のことです。以上は国民所得を分配面から説明したものですが、生産面や支出面から説明しても理屈上は同額になります。これを国民所得の三面等価の原則といいます(実際には統計上の不突合が生じます)。

● 国民総所得 (Gross National Income)
 国民総所得(GNI)とは、一国全体を所得の面から捉えたものであり、概念的には、各制度部門別の「第1次所得の配分勘定」のバランス項目である「第1次所得バランス(総)」を合計したものである(日本では、GNIを支出面からの推計値をもとに推計しているため、統計上の不突合分だけの違いが生じている)。
 数値的には、従来の国民総生産(GNP)に相当するものである。なお、名目GNIを実質化する場合は、輸出入価格の差によって生じる所得の実質額も考慮するため、交易利得も加えている。

● 実質所得 (Real Incomes)
 実質所得とは、価格指数でデフレートされた所得のことをいい、基準年次の現実所得額と比較することにより、所得の実質購買力がどれだけ増減したかを見ることができる。
 わが国の93SNAでは、 実質GDPに交易利得・損失を加えることにより、実質所得を算出することとし、次の2項目を表章している。
実質国内総所得(GDI)=実質GDP+交易利得・損失
実質国民総所得(GNI)=実質GDI+海外からの所得の純受取(実質)

 ⇒ 米州開発銀行、IDBグループ

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