Subject   : 鉄系超伝導物質

カテゴリー  : 産業・技術 > 材料技術


 鉄系超伝導物質
鉄系超伝導物質(てつけいちょうでんどうぶっしつ)は、鉄を含み超伝導現象を示す化合物。銅酸化物以外では、二ホウ化マグネシウムなどを抑え、2008年現在最も超伝導転移温度(Tc)の高い高温超伝導物質である[1]。研究が活発化した2008年の1年間でTcが2倍以上に急上昇したことから、さらなる研究の発展が期待されている[2]。

基本となる組成は、ReFeAsO1-XFX(Reは希土類)およびAFe2As2(Aはアルカリ金属やアルカリ土類金属)、AFeAsなどである。

ReFeAsO1-XFXについては、x=0(酸素の比率が化学量論比通り)だと超伝導転移は見られず、O2-(酸素イオン)を数%程度F-(フッ素イオン)で置換して電子をドープすることにより、超伝導体に変化する[4]。また、F-を添加せずに高圧合成によって酸素欠損を生じさせ、ReFeAsO1-Xという組成にしても超伝導転移が観察されている[1]。なお、As(ヒ素)をP(リン)で置き換えたReFePO、およびさらにFe(鉄)をNi(ニッケル)にしたReNiPOでは酸素欠損が全くなくても超伝導体となる[3]。 銅系酸化物は母物質がモット絶縁体であり、キャリアをドープすることで生じる異常金属相が超伝導性を示すが、鉄系超伝導体は母物質がもともと金属であり、化学修飾の果たす役割は明らかになっていない[5]。また、銅系ではフェルミ面がCu(銅)の一つの3d軌道とO(酸素)の2p軌道からなるが、鉄系では酸素などアニオンの寄与はほとんどなく、五つの3d軌道から構成される。このため、鉄系ではフェルミ面に複数のポケットが存在し、複雑な構造を有する。



  (出典)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ⇒ 銅酸化物系超伝導体

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]