Subject   : 量子ドット (quantum dot) 

カテゴリー  : 産業・技術 > 材料技術


 量子ドット (quantum dot) 
 量子ドットとは、ナノテクにより作り出された、nmレベルの半導体の微粒子、微細な結晶のこと。サイズが数nm〜数10nmの立体構造になると、原子の個数が数10個〜数100個のレベルになり、3次元すべての方向で量子効果が顕著になり、大きな結晶とは異なる特性をもつため、この名称が付けられている。サイズ的な呼び方としては「ナノ結晶」と同義である。

電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した直径数〜数十ナノメートルの半導体結晶。量子点。量子箱。

電子をその波長とほぼ同じ大きさの空間に注入すると、三次元のどの方向にも自由に移動できないため、特定のエネルギー状態をとる。このエネルギー状態は、量子ドットの大きさを変えることで、ある程度自由に変化させることができるため、新しい機能を発現する素材をつくることができる。量子ドットレーザー・単電子トランジスタ・量子コンピューター、光増幅器、LED、太陽電池、蛍光(医療用、バイオ用)などへの応用が進められている。

○ 物理的性質
 状態密度がエネルギーに関してデルタ関数的に完全に離散化する。すなわち特定のエネルギーに状態が集中するため、低閾値、高ゲイン、熱特性のよいレーザーが理論的には実現可能である。半導体量子ドットは三次元的な空間閉じ込めをナノスケールで達成する量子構造で、その量子閉じ込め効果は原子と同様な離散的な電子状態を作り出すので量子ドットでコヒーレントに光励起された電子は長時間コヒーレンスを保持する[6]。

量子ドットは、蛍光色素としてバイオ研究にも使用されている。この場合、量子ドットはポリマーコーティングされ水中で使用しやすいように作成されている。このポリマー材質は、各製造会社によってまちまちであり、使用者には公開されていないのが現状である。このコーティングされた量子ドットは、2次抗体やストレプトアビジンなどと共役され蛍光染色用色素として販売されている。染色に量子ドットを用いる利点は、長時間の励起光照射でもほとんど退色しないことあり、一つの細胞に関して複数の画像スライスを撮るような場合に絶大な効果を発揮する。さらに励起スペクトルが広範囲に及ぶため、単一励起波長(UV領域など)により発光波長の違う量子ドットを用いて同時に複数の発光を得ることができる。UVなどの励起光を使用した場合、ストークスシフトが大きくなるため、バックグラウンドが低く抑えられる。

量子ドットの発光強度も強いため、発光フィルターにおける許容波長を±10-20 nmに抑えることができ、バックグラウンドを抑えるとともに、同時に使用できるフィルター(色)数を増やすことも可能である。

 ⇒ ナノ粒子

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