Subject : アルテミシニン(Artemisinin)
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アルテミシニン(Artemisinin)
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アルテミシニン(Artemisinin)は、抗マラリア活性を有するセスキテルペンラクトンのひとつで、多薬剤耐性をもつ熱帯熱マラリアにも効果的である。古くから漢方薬として利用されていたヨモギ属の植物であるクソニンジン (Artemisia annua) から分離・命名された。この植物の中国名由来から、チンハオス(Qinghaosu、中: 青蒿素)ともよばれる。この種の植物のすべての個体がアルテミシニンを含有するわけではなく、特定の条件下においてのみ生成される。アーテミシニンとも言われる。
天然由来としては珍しいペルオキシド化合物(環状構造の中に含まれるエンドペルオキシド構造)であり、この部分が薬効の元であることが判明している(ペルオキシド部分を還元すると薬効は消滅する)。ただし、現時点では薬効のメカニズムについては諸説ある。
アルテミシニンがもつエンドペルオキシド架橋(-C-O-O-C-)は、ヘム鉄依存的に開裂して反応性の高い炭素中心ラジカルを生じ、マラリア原虫の生存に必要な様々なタンパク質、脂質、核酸を損傷することで抗原虫作用を示す。マラリア原虫は赤血球内発育(intraerythrocytic development)の際、栄養源としてアミノ酸を獲得する目的でヘムタンパク質であるヘモグロビンを取り込み、食胞内で分解する。一方、マラリア原虫自身もミトコンドリア、アピコプラスト、細胞質にかけてヘム生合成系を有する。このため赤血球内のマラリア原虫では食胞やミトコンドリアにヘムが豊富であり、このヘムがアルテミシニン活性化に必要な第一鉄Fe2+の主たる供給源としてはたらくため、アルテミシニンはマラリア原虫に高い選択毒性を発揮すると考えられる[6]。
また、ヘムの取り込みに関与するKelch13やその関連因子、またはヘモグロビンタンパク質の分解系に特定の変異をもつマラリア原虫では、ヘムの取り込みやヘモグロビン分解活性の低下と引き換えにアルテミシニン誘導体への耐性を獲得することが報告されており、このこともアルテミシニン活性化へのヘムの寄与を支持している。
アルテミシニン自体は水や有機溶媒に難溶であり、効用性には限界があるため、脂溶性のアルテメーター(アルテメテル)や水溶性のアルテスネート(アルテスネイト)といった半合成の薬剤が開発された。これらの薬剤には即効性はあるが薬効の持続時間が短く、単独では再燃が起こり易いため、他の抗マラリア剤との併用療法(artemisinin-based combination therapy、ACT) が推奨される。
アルテミシニンは、新型コロナのACE2受容体を介したウイルスの細胞内侵入を阻止する効果が顕著であることが研究で明確に示されている。
<出典:Wikipedia>
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