Subject   : 微分干渉顕微鏡(DIC)

カテゴリー  : 学びの館 > 測定・分析 


 微分干渉顕微鏡(Differential interference contrast microscope)
光の偏光性と干渉性を利用して、無色透明な細胞や金属表面の段差などを観察する顕微鏡。偏光素子とウォラストンプリズム(ノマルスキープリズム)によって光線を分離して試料面を通過させ、試料で生じる光路差の微分値を像面でコントラストに変える。試料面での光線の分離量をシアー量といい、分解能やコントラストに影響する。現在の顕微鏡では、スミス・ノマルスキー型という構成が多い。

微分干渉顕微鏡では観察試料の光学密度(optical density)情報を得るために干渉分光の原理を利用しており、通常の透過光観察では見えない構造を可視化する。光学系はやや複雑だが、灰色のバックグラウンドの中に濃淡の付いた対象物の像が得られる。この像は位相差顕微鏡のものと似ているが、対象物の周囲にハロ(明るい光環)を伴わない点が異なる。

微分干渉は、光源から得られる偏光を二つに分割し、試料のわずかに異なる二点を通過させた後で再び合成することで可能となる。異なる点を通る光には、媒質の屈折率の違いや経路長の差異から位相差が生じる。位相差の生じた光を再び合成すると干渉が起こり、増加的干渉が起こった部分は明るく、逆に減殺的干渉が生じた部分は暗く落ち込む。その結果、試料の光学密度の差異を反映したレリーフのような像が得られるのである。

どちらも試料のコントラストを強調して観察可能な点は同じである。位相差ではおおよそ試料の厚みに応じた濃淡が付くのに対し、微分干渉では厚みや屈折率の変化量によって影が付く。従って、位相差では試料全体のコントラストが強まるが、微分干渉では物体の輪郭のみが強調される。

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 ⇒ 探針をプローブとする分析技術

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