Subject   : フェニキア人

カテゴリー  : 人文 >  


 フェニキア人 
 東地中海岸で海上貿易に活躍したセム語族の一つ。アルファベットのもととなったフェニキア文字をつくった。

 フェニキア人はセム語系であるが、単一の民族と言うより、東地中海岸の現在のレバノンのあたりを拠点に地中海方面に海上貿易に従事していた集団であった。古くは前15世紀頃に栄えたウガリットもフェニキア人つくった都市らしいが、これは前12世紀に「海の民」の攻撃によって滅ぼされたと考えられる。

 フェニキア人は南に移り、シドン、ティルスやベリュトス(現在のベイルート)などに都市を築き、地中海の貿易活動に進出するようになった。彼らの輸出品は特産であるレバノン杉といわれる杉材で、中東では森林が少なかったため、エジプトなどでも貴重な建築材としてフェニキア人の主要な交易品となった。レバノン杉は現在のレバノン国旗の図柄に描かれている。

 さらに地中海各地に植民市を建設していった。ティルスを母市として北アフリカの現在のチュニジアに建設されたのがカルタゴ(前814年に建設したと伝えられる)である。他に、イベリア半島のカディス、バルセロナなどもフェニキア人が築いたとされている。

 フェニキア人はアケメネス朝ペルシアの時代にはその保護を受けて地中海貿易で活躍したが、ギリシア人やローマが地中海貿易に進出してくるとの商業支配をめぐって抗争することになる。ペルシア戦争も、ギリシア人とフェニキア人の対立という一面がある。フェニキア人の国カルタゴは、前480年のサラミスの海戦と同じ年にシチリア島のギリシア人と戦い敗れている(ヒメラの戦い)。その後は西地中海のみがその勢力範囲となったが、前3世紀になるとローマと抗争することとなる。それがポエニ戦争(前264〜前146年)であった。その戦いに敗れ、フェニキア人の国家は消滅する。

● 表音文字の考案
 彼らは活発な交易活動に便利なように、カナーン人から学んだ表音文字を発展させ、後のアルファベットのもとになる線状文字を作り出した。フェニキア人の作った表音文字は、それまでの楔形文字の字数が多数であったのに対し、わずか30文字で意味を表すことができるものだった。しかし子音を表すだけであったので、後にギリシア人が母音を加えて現在のようなアルファベットになった。

 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧へ戻る]  [HOMEへ戻る]