Subject : 視床下部室傍核(Paraventricular nucleus: PVN)
カテゴリー: 医学
視床下部室傍核(Paraventricular nucleus: PVN)
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視床下部前方の背側、第三脳室壁の近くにある明瞭な神経核。室傍核の内側部に位置する小細胞性領域にはストレスホルモンとも呼ばれる副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(Corticotropin-releasing hormone: CRH)を分泌するニューロンの細胞体が存在する。視床下部から放出されるCRHは下垂体前葉における副腎皮質刺激ホルモン(Adrenocorticotropic hormone: ACTH)産生細胞を刺激し、ACTHやβ-リポトロピンの産生と放出とが促される。ACTHは血液循環によって運ばれたのち、副腎皮質を刺激し、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイド(ヒトでは主にコルチゾール)の産生と分泌とを高める。このコルチゾールが循環器機能やエネルギー代謝を高め、ストレスに対する全身の防御にはたらく。ヒトを含めた哺乳動物ではストレスに対する防御システムとして内分泌系および自律神経系が重要な役割を担っており、視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA軸)の一連のホルモン伝達系はストレス応答の重要な経路となっている。室傍核の外側部に位置する大細胞性領域には、オキシトシンやバソプレシンを分泌する神経細胞が存在する。これらの細胞の軸索は下垂体後葉へと投射して血管へと内分泌するだけでなく、脳内の多くの領域に投射して社会行動の調節にも係って関わっている。
<出典:脳科学辞典>
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