Subject : 紅花と紅花油(サフラワー油)
カテゴリー : その他
紅花と紅花油(サフラワー油)
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紅花はキク科の一年草で、サフラワー(英名)とも呼ばれる。夏に咲く紅黄色の花を摘み取って薬用や染料、口紅などに用いたことから、古名を末摘花という。開花後、花冠が赤くなった花を集めて乾燥したものが生薬の紅花(こうか)で、漢方薬の古典・菌匱要略には「婦人の62種の風、および腹中血気利痛は、紅藍花(紅花)これを主どる」とあり、これは婦人の冷え性、産前産後や更年期など腹が痛むときに効果があるといった意味である。
紅花の薬効成分としては数種のフラボン配糖体、アセチレン化合物などの他に、カルコン配糖体である黄色色素のサフロールイエロー、紅色色素のカーサミンなどがよく知られている。黄色色素は水に溶けるが、赤色色素は水に不要でアルコールに溶けるため、紅花を処方した漢方薬は、水なく酒で煎じて服用する場合がある。また、焼酎に浸けておけば、両方の色素が浸出した薬用酒(紅花酒)ができる。また、藤ノ森古墳(6世紀後半)の被葬者の腹部を中心にその花粉が大量に検出され、これは紅花が防腐剤として用いられた可能性が高いとして話題になった。
紅花の若芽を乾燥させた健康食品(焙煎加工したお茶タイプ、粉末化した顆粒タイプなど)も登場している。分析検査(財・日本食品分析センターによる)では特にカルシウム、β−カロチン、葉酸、食物繊維の含有が多く、抗酸化作用を持つビタミンEはホウレン草の100倍、SOD活性は2400単位/1gで緑茶の6.5倍に達する。
紅花油は、紅花の種子から搾り取った油で、リノール酸が全体の75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量である。動物脂肪の摂り過ぎがコレステロールの増加を招き、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を引き起こすことになるが、リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効だとして、近年、紅花油に注目が集まった。
その効果を最初に実証した動物実験、高血圧自然発症ラット(遺伝的に高血圧を起こすネズミ)の実験データから、紅花油の血圧効果作用が明らかとなり、以後、リノール酸について血液中のコレステロールを減らす働きのほか、リノール酸の一部が体内でプロスタグランジン(ホルモンに似た働きを持つ物質)に変わり、その一部が血管を拡張させ、血圧を下げる働きを持つことなどが明らかにされた。
このように高血圧予防に有効な紅花油であるが、リノール酸の含有量が跳び抜けて多いため、逆に紅花油の使用を減らすべきだとする指摘もあり、現在は概ねその方向に進んでいる。それは、近年の脂質栄養学の成果から、リノール酸の過剰摂取によって様々な弊害の起こることが明らかになってきたからである。
リノール酸は酸化されやすく、体内で過酸化脂質を作りガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によって、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力低下を引き起こすことが指摘されている。つまり、過剰摂取による弊害である。
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脂肪酸
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