Subject : スピリッツ(蒸留酒)の種類と特徴
カテゴリー : その他
スピリッツ(蒸留酒)の種類と特徴
-
スピリッツ(Spirits)とは本来「精神」のことだが、酒に関して使われる場合は「蒸留酒」の
意味になります。
したがって、ウイスキーもブランデーも、スピリッツの仲間です。
- ● ジン
-
ジンの生まれ故郷は、オランダ。1660年、ライデン大学の医師シルヴィウス博士が、
薬酒として開発したのが起源です。
博士は、アルコール液に利尿作用のあるジュニパー・ベリー(杜松の実)を浸漬、
蒸留して、解熱剤として薬局に販売させた。名称は、ジュニパー・ベリーのフランス語、ジュニエーヴルにちなみ、ジュニエーヴル・ワインとした。このジュニエーヴルが、のちにイギリス人の間で縮まってジンという名称になった。
ジュニパー・ベリー(杜松の実)で香りづけをしたオランダタイプ「ジュネヴァ・ジン」(イェネーファーというが、日本ではジュネヴァと呼ばれている。)、イギリスタイプの「ドライ・ジン」、ドイツで作られる「シュタインヘイガー」などが有名だ。現在、ジンの主流となっているのが、ドライ・ジンである。原料は、とうもろこし、大麦、ライ麦など。これらから、連続式蒸留器で度数95度以上のグレーン・スピリッツをつくり、植物性成分を加え、もう一度単式蒸留器で蒸留して、成分の香りを溶けこませる。植物性成分としては、ジュニパー・ベリーのほかに、コリアンダー・シーズ、キャラウエイ・シーズ、シナモン、アンジェリカ、オレンジやレモンの果皮、その他各種の薬草、香草類が使われる。
- ● ウオッカ
-
ウオッカは、かつてロシアでは、歴代の皇帝や宮廷に仕える上流貴族階級だけが飲むことを許されていた特別の酒だった。ウオッカの正確な起源は不明だが、ロシアで12世紀ごろからつくられるようになったといわれる。ウオッカという名称は「ズイーズナヤ・ヴァーダー(生命の水)」で、それがヴァダ(水)に短縮され、愛称形のウオッカ(ヴォートカ)に変わったものといわれている。
18世紀ごろまではライ麦が主原料だったようだ。18世紀後半あたりから、大麦や小麦、アメリカ大陸からもたらされたとうもろこし、じゃがいもなども使われるようになった。
ウオッカはこうした農産物からアルコール濃度の高いグレーン・スピリッツをつくり、それを水で40度から60度の間に薄めたうえ、白樺や椰子を焼いた活性炭で濾過する。こうすると、アルコールに溶けにくい成分が活性炭に付着して純度が高まり、色もクリスタル・クリアな状態になる。その結果、ウオッカは無色でライトな酒質のなかに、原料由来の微妙な香味をほんの少し残す、爽やかな酒として生まれてくるのである。
- ● ラム
-
ふつう、さとうきびの搾り汁を煮詰めて、砂糖の結晶を分離したのち、残った糖蜜を水でうすめてから、発酵、蒸留してつくられる。しかし、さとうきび搾り汁を、そのまま水でうすめてつくることもある。
ラムは、その飲み口の強さから、かつて海賊の酒ともいわれ、ほとんどがストレートで飲まれていた。長い船旅の栄養不足を補う英国海軍の御用達品で、乗組員はグロッグ(Grog)と呼んで愛飲していた。飲み過ぎて「グロッキー」というのは、このグロッグからきている。
西インド諸島がコロンブスによって発見されたのが1492年。ラムの原料となるサトウキビはそのときに持ち込まれたといわれている。この強い酒をはじめて飲んだ原住民たちは、酔って興奮(当時の英語でrumbullion:ランバリオン)した。このランバリオンの語頭が残ってラムという酒名になったといわれる説と、サトウキビのラテン語名であるサッカラムの語尾からとったという説もある。
現在、ラムは産地や製法によって、さまざまなタイプがつくられている。風味を基準にして3つに分類するならば、ライト・ラム、ミディアム・ラム、ヘビー・ラムに分けることができる。ライト・ラムは、糖蜜をすっきりと発酵させ、連続式蒸留器でつくる。ソフトな香りと、ドライな切れ味が特徴。代表的なものにキューバ・ラムがある。ヘビー・ラムは、糖蜜を複雑発酵させたものを単式蒸留器で蒸留のうえ、樽熟成させ、香味濃厚に仕上げる。代表的なものにジャマイカ・ラムがあげられる。ミディアム・ラムは、その中間的な製法でつくり、香味も中間的なラムだ。
また、色によって分類すれば、ホワイト・ラム、ゴールド・ラム、ダーク・ラムに分類され、濃くなるほど味も濃厚。
- ● テキーラ
-
メキシコの特産酒。原料は竜舌蘭、アロエを大きくしたような形の根生植物である。竜舌蘭は何百種類もあるが、テキーラで使用するのはアガペ・アスール・テキラーナの根茎。掘り起こした球茎を割って蒸したものを砕き圧縮して汁を搾る。それを発酵させさらに蒸留してつくられる。それ以外の竜舌蘭からつくる蒸留酒を一般にメスカルと呼んでいる。
メキシコ原住民の間では、竜舌蘭の搾り汁を発酵させて作る醸造酒(プルケ)が古くから飲まれており、遠くはトルテカ、アステカ文明のころから飲まれていたという。16世紀にメキシコに渡ってきたスペイン人達がプルケを蒸留して生まれたのがメスカルとなる。テキーラという名前が誕生するのは20世紀に入って、植物学者のウェーバー博士によって、テキーラづくりに最適なものが竜舌蘭の一種であることが認定され、「アガペ・アスール・テキラーナ」という名前が与えられてからだ。
テキーラも、ブランデーのコニャックなど同様にメキシコ政府では、規定を定めている。まずアガベ・アスール・テキラーナを原料にしたスピリッツで、地域もハリスコ州全域、ナヤリト州、ミチョアカン州、グアナファト州、タマウリパス州の5州に限定されている。
樽熟成させない無色透明でシャープな香りを持つホワイト・テキーラ。テキーラのほとんどがこのタイプ。オーク樽で樽熟成させた淡黄色のゴールド・テキーラ。樽熟成させる製法で2ヶ月以上熟成させたものをテキーラ・レポサド(短期)といい、黄色みがつき樽の香りも移りまるい口当たり。さらに1年以上熟成させたものをテキーラ・アホネ(長期)という。これはブランデーのような樽香が強いコクのある味わいがあり高級品とされる。
参考)独立行政法人 酒類総合研究所
⇒
お酒について知りたい
[メニューへ戻る]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]