Subject   : 熱帯低気圧と台風

カテゴリー  : その他 > 気象


 熱帯低気圧と台風
低緯度地域に発生する低気圧。 熱帯地方では、強い太陽の光で、海面が暖められて大量の水蒸気を持った空気がが存在している。これが、何らかの原因で集まって上昇気流となり積乱雲を発生させ、更に周りから湿った空気を集めることによって発生する低気圧。 数百Kmから千Km程度の広がりがあり、発生から消滅まで1週間程度。 前線を伴うことはなく、形も円に近い。
台風は、北西太平洋で発生した熱帯低気圧の発達したもので、中心付近の最大風速が17.2メートルを超えたもの。英語の typhoon から名づけられた。
熱帯低気圧に対して、中緯度地方で暖かい空気と冷たい空気のぶつかりあいによって、発生する低気圧を、温帯低気圧という。

● 台風の発生と進路
台風は、暖かくて湿った空気が持つエネルギーによって発達する。
空気中に含まれる水蒸気が水や氷に変わる際には、潜熱と呼ばれる熱が発生する。 台風が発生する南海上では、海面水温が高く、暖かくて湿った空気が多量に存在する。 この暖かくて湿った空気が台風に集まり、台風の内部で上昇気流となることによって温度が低下し、含まれた水蒸気が水や氷になる。この際に、潜熱が発生することにより、温度が低下しても、周りよりも気温が高くなり、ますます、上昇気流を強め、更に周りの暖かくて湿った空気を集めるということになり、台風が発達する。 統計的には海面水温が27℃以上の海上で、台風は発生、発達する。 台風は、熱帯地方でも、陸上では発生しない。

晩秋から春先にかけての台風は、低緯度で発生し西へと移動する。 夏から秋にかけては、やや高い緯度で発生するようになる。初めは西へと移動するが、北上して中緯度地帯に入ると、東へと進路を変え、北東方向に進むようになる。 この進行方向の変化を転向という。 台風は、上空の風に流されるように動くと共に、地球の自転と自らの渦巻きによって、わずかに北へと移動する性質がある。 低緯度では上空に東風が吹いているため、発生した頃は西へと流される。 また、中緯度では上空に西風が吹いているため、北上してくると東へと流される。 晩秋から春先にかけての台風は低緯度で発生するため、多少北上しても、東風が吹いている範囲で、その一生を終わるため、西へ移動するだけで東へは移動することはあまりない。
夏に発生する夏台風は、北上して日本に近づくと、動きが遅く複雑な動きをするものが多い。夏には、日本付近を太平洋高気圧が覆っていることが多く、台風を流す上空の流れが弱いため。
一方、秋に発生する秋台風は、日本付近の太平洋高気圧が弱まって日本付近の上空の流れもはっきりとした西風となるため、北上して日本に近づくと、次第に東よりのコースに変えながら、足早に通過することが多い。

● 台風の暴風域と強風域
台風の暴風域は、風速25メートル以上の暴風が吹いている範囲。
台風の強風域は、風速15メートル以上の強風が吹いている範囲。
台風は、進行方向の左側に比べて右側のが強い風が吹く。これは、右側では、台風を動かす流れと台風に吹き込む風の向きが同じのため。 帆船時代には、進行方向の右側では台風から逃れようとすると、向かい風で逃げられなかったのに対して、左側では追い風を生かして、台風から逃れれることから、右側を危険半円、左側を可航半円と呼ばれるようになった。

● ハリケーンとサイクロン
ハリケーンは、北大西洋や北太平洋東部で発生する発達した熱帯低気圧のこと。 サイクロンは、インド洋で発生する発達した熱帯低気圧のこと。 いずれも、発生場所が違うだけで、性質などは台風と同じ。 南大西洋や南太平洋東部では、海面水温がやや低いことが原因で熱帯低気圧が発達しない。

  ⇒ 風の強さと被害


[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]