Subject   : 輸血の種類

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 輸血の種類
輸血された血液はほとんどの場合、その成分である赤血球、血小板、血漿、凝固因子、抗体(免疫グロブリン)、白血球に分画されます。そして病状に応じて、血球、凝固因子、その他の成分など、必要な血液成分だけを輸血します。成分を選んで輸血することによって、その病気に合った治療ができ、副作用のリスクが低下します。また、血液を複数の人の治療に効率的に使用できます。

 ● 赤血球
赤血球は最もよく輸血される血液成分であり、血液の酸素運搬能力を回復できます。赤血球輸血は、出血している場合や重度の貧血がある場合に行われます。赤血球は、血液の液体成分(血漿)や他の血球、有形成分から分離された後、少量で保存できるように濃縮されます(濃厚赤血球)。赤血球は冷蔵で42日間保存できます。まれな型の血液を保存するなど特別な場合には、10年間冷凍保存できます。

 ● 血小板
血小板は血液の凝固力を回復するのに役立ちます。血小板輸血は、血小板数が非常に少なく(血小板減少症)、自然に重度の出血を起こす場合に行われます。血小板は5日間しか保存できません。

 【血小板採血】
血小板採血は、血液の全成分ではなく血小板だけを採取する方法です。供血者から採取した血液を機械で成分ごとに分け、血小板だけを選別して、残りの成分は供血者に戻します。血液の大部分が体内に戻るため、全血の場合と比べて、1回に8〜10倍の血小板を安全に採取できます。全血の場合は採血にかかる時間は10分程度ですが、血小板の場合には1〜2時間かかります。

 ● 血液凝固因子
血液凝固因子は血漿中のタンパク質で、血小板とともに血液が固まるのを助けます。凝固因子には、血漿からつくられるものと、特殊な技術により人工的につくられるものとがあり、後者は組み換え凝固因子製剤と呼ばれます。凝固因子がないと、傷の出血が止まりません。各種の血液凝固因子製剤が、血友病やフォン・ヴィルブランド病など遺伝的な出血性疾患や、重度の感染や肝疾患のため凝固因子を十分につくれない人に投与されます。

 ● 血漿
血漿には血液凝固因子が入っています。血漿の輸血は、出血傾向があり、欠けている凝固因子が不明な場合や、特定の凝固因子が入手できないときに行われます。また、肝不全や重度の感染症などで凝固因子が不足して出血を起こしている場合にも使用されます。供血後、血球と分離してただちに凍結した血漿(新鮮凍結血漿)は、1年間保存できます。

 ● 抗体
抗体は免疫グロブリンとも呼ばれるタンパク質で、血液中の成分として病気と闘う役割を担っています。水ぼうそう(水痘)や肝炎などの感染患者に接した場合や抗体価が低い場合に、免疫力を高めるために投与します。抗体は成分献血された血漿から採取します。

 ● 白血球
白血球は、白血球数が著しく減少している人や、白血球の働きが異常な人に致死的な感染が生じた場合に輸血します。抗生物質の改良やサイトカイン、増殖因子の使用によって、白血球輸血の必要性はかなり低くなり、現在ではまれにしか行われません。白血球は赤血球除去により採取し、24時間保存できます。

■ 自己血輸血
自己血輸血は、自分の血液を自分に輸血する方法です。たとえば、手術中や手術後に輸血の必要性が発生した場合に備えて、手術の数週間前にあらかじめ採血しておきます。手術中に出血した血液を集めて、体内に戻す方法もあります。自己血輸血は血液型の不適合や血液に媒介される病気のリスクがなく、最も安全な輸血法といえます。

■ 幹細胞採血
幹細胞採血は、全血ではなく幹細胞だけを採取する方法です。供血者はあらかじめ、骨髄を刺激して幹細胞を血流に放出させるタンパク質(増殖因子)の注射を受けておきます。供血の際は、いったん全血を採取し、血液成分を機械で分離して幹細胞を選別し、残りを供血者に戻します。

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