Subject  : 肝硬変

カテゴリー: 健康・医療情報 


 肝硬変
肝炎やアルコールが原因で肝臓の細胞が破壊されつづけると、再生能力の高い肝臓といえども限界が訪れます。肝臓の中に線維が増えて固くなり、見た目にもゴツゴツとしたこぶだらけの臓器になります。この状態を肝硬変といいます。 肝硬変になると、肝臓内部の血液循環に異常が生じ、肝臓の働きが果たせなくなります。
お酒を飲みすぎると肝硬変になるといわれますが、アルコールだけが原因で肝硬変になる人は、全体の10%ぐらいです。日本で、肝硬変の原因として圧倒的に多いのはC型肝炎で全体の約65%を占めています。
肝硬変といっても、全ての人に症状があるわけではありません。初期の頃にはほとんど症状はありません。それは、肝臓には「代償能」という機能があり、肝臓の一部に障害が起こっても、残りの部分がそれをカバーして働くためです。しかし、その機能にも限界があり肝硬変の病状の進行とともに様々な症状がでてきます。
 症状のない状態を代償期肝硬変、症状のでてきた状態を非代償期肝硬変といいます。 非代償期になると、全身倦怠感や疲れやすい、食欲がないなどの症状がでてきます。そして、肝機能も落ち、黄疸、腹水、意識障害、吐血などがおこります。 なんとなくだるい、疲れやすい、おなかがはる、食欲がない、むかつくなどと訴える人が多いようです。皮膚の症状である、くも状血管、手掌紅斑などが肝臓病に多くみられますが、とくに肝硬変では高い確率で現われます。
非代償件肝硬変は、進行した肝硬変であり、生命の危険があります。

症状 メモ
黄疸 ビリルビンと呼ばれる色素が血液中に異常に増加することで、
皮膚や白目が黄色くなってくる症状のことです。
みかんをたくさん食べると手のひらや足の裏が黄色くなること
がありますがこれは「柑皮症」といって白目は黄色くなりません。
尿がビールより濃い色になったら白目をみる、これが黄疸を
見分けるコツです。
クモ状血管腫 胸や肩、二の腕などに、クモが足を伸ばしたような形の赤い
斑紋が現れる症状のことです。これは細い血管が拡張した
もので、一見すると盛り上がっているように見えますが、
血管腫自体は盛り上がってはいません。
手掌紅斑 指や指の付け根などが赤くなる症状です。しかし、健康な人でも赤くなることがあるので、病的なものかどうかを見分けるのは難しいでしょう。
女性化乳房 男性にだけ現れる症状です。女性ホルモンの代謝異常が原因です。乳房だけでなく、乳首も大きくなるため、下着とこすれて痛みを訴えることもあります。
出血傾向 血液を固まらせる働きのある血小板の数が低下するため、1度出血すると止まりにくくなる傾向にあります。血小板の減少は肝硬変の程度を知るための大事な所見です。健康な人は1o3の血液中に20万以上の血小板がありますが、10万以下になったら肝硬変を疑います。
腹部静脈の怒張 門脈圧亢進のため、おへその周辺の静脈が拡張し、お腹の表面にミミズがのたうつように浮き上がります。

● 肝硬変の合併症
腹水、食道静脈瘤、肝性脳症などがあります。
腹水には、水分と塩分を制限し、肝臓への負担を軽減するためにある程度は安静も必要となります。さらに効果を見ながら利尿剤を用いることもあります。これでも改善しない場合は、少量のアルブミンを注射で補います。
肝臓から逆流した血液が、細い静脈に流れ込みコブのようなものを作ります。これが静脈瘤ですが、これは痛みや異物感等の自覚症状がありません。そのため、定期的な検査をうけ、破裂を防止しなければなりません。
肝性脳症は、肝臓の機能が低下するため、解毒されなかったアンモニアが脳に達して精神症状を起こすのが肝性脳症といわれている症状です。この治療はまず、食事で摂るたんぱく質を1日40gに制限します。そして、薬物療法に使われるのは、ラクツロースという一種の緩下剤です。これは、腸内の有害な細菌をおさえて、排便を促し腸内を浄化する薬です。また、アンモニアの産生を促す細菌を殺すための抗生物質、あるいはアミノ酸バランスを調整する特殊アミノ酸製剤なども使われます

 ⇒ 肝炎

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