Subject : 間質性肺炎
カテゴリー: 健康・医療情報
間質性肺炎
-
肺は、肺胞という3億個の小さな袋を通して空気中の酸素を取り込み、体の中でできた二酸化炭素を放出するという仕事をしています。その肺胞に起こる炎症を肺炎といいます。また肺胞と肺胞を支える組織で、毛細血管や小さなリンパ管も通っているところを肺の間質といいますが、そこを中心に炎症が起こった場合を間質性肺炎と呼びます。間質性肺炎になると間質の部分が厚くなるので、肺胞を圧迫し、呼吸がうまく出来ないようになり酸素不足の状態になります。
- 【原因】
-
間質性肺炎の原因にはいろいろあります。
1.異物の吸入によるもの: たばこの煙、カビ、ペットの毛、羽毛布団、粉塵・アスベストなどの吸入物質に長期間さらされていると徐々に肺の線維化が起こりえます。
2.自身の免疫細胞の異常によるもの(自己免疫性): 関節リウマチや多発筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、強皮症、血管炎などの自己免疫疾患、肺サルコイドーシス、IgG関連疾患など
3.医療行為による副作用・合併症(医原性): 病院で処方される薬剤(特に抗がん剤、抗菌薬、抗不整脈薬など)の他に市販薬、漢方薬でも起こり得ます。サプリメントや健康食品の長期摂取によって発症したケースもあります。また、高濃度の酸素投与や放射線治療によっても間質性肺炎を引き起こすことが知られています。
4.感染症: 一部の特殊な感染症(マイコプラズマ・サイトメガロウイルスなど)でも間質性肺炎のパターンを呈することがあります。
流行中の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症でも間質性肺炎のパターンをとることがありますが、コロナワクチンの接種により間質性肺炎になる場合もあります。
その他、
C型肝炎のような慢性の肝炎があって、インターフェロンの注射を受け続けたり、小柴胡湯(しょうさいことう)などの漢方薬を飲み続けた時に起こったり、慢性関節リューマチなどの膠原病(こうげんびょう)にともなって起こることもあります。また、暑くて湿度の高いところでは、夏型過敏性肺臓炎というカビの一種によって起こるものもあります。
他にも、肺サルコイドーシス、放射性肺炎、ニューモシスチス・カリニ肺炎などが原因の場合もあります。
しかし間質性肺炎の大半は原因のわからない特発性間質性肺炎と呼ばれるものです。
- 【症状と診断】
-
症状は、肺炎では熱が出たり、咳や痰がでますが、間質性肺炎では、通常はあまり熱はでません。痰を伴わない乾いた咳と、階段を上ったり、坂道を登ったときなどに感じる息切れが特徴的です。症状が進むとじっとしていても息苦しくなります。急速な呼吸不全に陥ったり、ガス交換機能が急低下する肺繊維症になったりすることもあります。
(肺の組織が硬くなったりすることもあります。)
診断は、胸のレントゲンや肺機能検査などで行います。
- 【治療】
-
治療は、薬が原因になっている場合はまずそれをやめることです。また夏型過敏性肺臓炎や膠原病にともなう間質性肺炎の一部では副腎皮質ホルモンがよく効きます。しかし残念ながら間質性肺炎の大半を占める特発性間質性肺炎では病気そのものを治す有効な治療はありません。咳を止めたり息切れに対して酸素を吸入するなどの対症療法が中心になります。咳と息切れがいつまでも治らない時は、かかりつけ医や呼吸器専門医を受診しましょう。
⇒
肺炎
[メニューへ戻る]
[カテゴリー一覧]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]