Subject  : 皮膚がん(ひふがん)

カテゴリー: 健康・医療情報 > がん


 皮膚がん(ひふがん)
皮膚の異常は内臓と違って目で見てわかりますので、皮膚がんは早期に自分で発見できる可能性があります。皮膚がんには、数年放置しておいてもはんのわずかしか変化しないものから、数か月でどんどん大きくなって、死に至るものまであります。
 皮膚は表面に近い部分から表皮・真皮・皮下組織の3つの部分に大きく 分かれます。さらに表皮はいくつかの層(表面から順に角質層・顆粒層・有棘層・基底層と呼びます)に分かれます。基底 層(表皮最下層)と真皮の間には基底膜があります。真皮〜皮下組織にかけて、毛包・脂腺・汗腺という表皮と構造の類似した皮膚付属器があります。真皮・皮下には他に脂肪織・血管・立毛筋などの上皮以外の重要な組織と神経があります。これらのうち、表皮と皮膚付属器の細胞が悪性化したも のを総称して「皮膚がん」と呼びます。

基底細胞がんは、表皮の基底にある基底細胞から発生する癌です。 皮膚癌の内最も頻度の高い癌の一つです。

有棘(ゆうきょく)細胞がんは、表皮の中間層をしめる有棘層の細胞から発生する癌です。  はっきりした原因は不明ですが、紫外線、慢性刺激、慢性炎症、ウイルス、放射線などが関与していることがわかっています。

 【症状】
基底細胞癌は、通常のほくろに比べて青黒く、表面が真珠様の光沢をもつ腫瘤であることが多いようです。潰瘍状のこともあります。 眼瞼や鼻など顔面に好発します。はっきりした原因は不明ですが、紫外線による光老化が関与しているとされています。その他放射線や熱傷瘢痕が関与することもあります。
有棘細胞がんは、表面が疣状やびらんなどを示す皮膚色の腫瘤で、潰瘍状のこともあります。 通常は皮膚の盛り上がりで中央が赤身の肉のように見え、表面はジクジクして出血しやすく、進行すると腫瘍の形はカリフラワー様になることがあります。 腫瘤が大きくなると悪臭を伴ってくることもあります。 このがんの誘因としては、紫外線の影響以外にも皮膚の有棘細胞がんの発症に「ヒト乳頭腫ウイルス」(子宮頚がんなどの原因の一つ)の関わりが注目されています。その他には、放射線治療後におこる慢性放射線皮膚炎などです。さらに、PUVAと呼ばれる皮膚病治療法・化学物質では砒素化合物・タール類・鉱物油(切削油)などが発生に関与する場合があります。

 【治療法】
 少なくとも 3 〜 5mm 以上離して切除するのが原則です。まれに高齢者などで手術不可能な場合など、放射線を行うことがありますが、根治性で劣ると考えています。 通常、化学療法はめったに行いません。 病期U、Vで補助療法としてシスプラチン、アドリアマイシンを使用することがあります。 基底細胞癌はほとんどが局所に限局するため、病期分類や TNM 分類はあまり意味がないと考えられます。

 有棘細胞がんは、外科的切除が第一選択となります。病期にもよりますが通常1〜数cm離して拡大切除します。 N1では所属リンパ節郭清も行います。癌の切除後は組織欠損がやや大きく、縫縮は難しいため、植皮や皮弁などで欠損部をカバーします。 放射線治療にも反応しますが、根治性で問題があると考えます。病期U以上では症例によっては化学療法も併用します。病期Wでは症例ごとに変わりますが、外科療法、放射線療法、化学療法を併用した治療になります。 抗ガン剤として、主にペプレオマイシン、ブレオマイシンが使用されています。このほかに、最近ではシスプラチンも併用する方法も行われるようになってきました。
 ⇒ 皮膚

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