Subject  : 卵巣がん(らんそうがん)

カテゴリー: 健康・医療情報 > がん


 卵巣がん(らんそうがん)
卵巣にできる悪性腫瘍には、若い世代(10-20才代)を中心に発生する"卵巣胚細胞腫瘍"と中高年女性(40-60才代)を中心に発生する"上皮性卵巣がん"がある。前者は、頻度はかなり低く、弱年発症という性格から子宮温存を求められるなど、後者とは治療体系が全く異なる疾患です。
卵巣は表層上皮・胚細胞・性腺間質・間質からなりますが、腫瘍は癌だけでなく良性のものも含めて、これらのどの組織にも発生します。

 【症状】
初期にはほとんど症状はありません。腫瘍が大きくなると下腹部にしこりが触れたり、圧迫感があったり、あるいは膀胱が圧迫されて尿が近くなるなどの症状がでてきます。
卵巣が腫れている状態であっても、かなり大きくなるまで無症状のことが多い。腫瘍が小さい場合は、婦人科検診などで発見されることが多い、子宮内膜細胞診で陽性になることが発見の端緒になる場合もある。大きくなると腹壁から自分の手で腫瘍を触れたり、あるいは腫瘍による圧迫症状がみられるようになる。腹水を伴うと、その量に応じた腹部の腫大と腹部膨満感が出現する。腹水が増量し胸水も認められるようになると、呼吸苦が出現する。胸腹水は良性卵巣腫瘍でも発生するが、悪性の場合により多く見られる。卵巣腫瘍は悪性、良性に関わらず、捻れたり(卵巣腫瘍茎捻転)、破裂したりすることがあり、この場合は激痛を伴う。

 【治療法】
卵巣がん(上皮性卵巣がん)は、婦人科がんの中でも最も化学療法(抗がん剤治療)の感受性が高く、その治療は"手術療法と化学療法の組み合わせ"によって形成されることを御理解いただきたい。初診時の進行期(腫瘍の広がり)が重要で、これによって治療法が大きく異なる。
I期卵巣がん(がんは卵巣に限局)では、原則として、子宮全摘、両側付属器切除(両側の卵巣切除)、大網切除術(胃下部の脂肪組織切除)に加えて、骨盤内リンパ節、傍大動脈リンパ節の郭清が根治手術となる。
II期の卵巣がん(がんは子宮、卵管、直腸、膀胱に広がる)では、I期の根治手術に加えて、がんが広がっている部位を併せて切除することとなる。つまり、II期でも子宮、卵管などI期の根治手術の範囲内への進展であれば問題ないが、直腸表面への浸潤するケースも多く、この場合は直腸合併切除が行われる事となる。この手術は人工肛門などにならずに腸管吻合が可能で、後遺症も少ない。また、膀胱側にがんが広がる場合でも、膀胱表面の腹膜切除を行う。これらの方法により、II期の多くの症例で腫瘍は完全切除が可能である。
 ⇒ 女性の主な病気

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