Subject  : 睡眠時無呼吸症候群

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 睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まり、血液と脳内の酸素量が減少して二酸化炭素量が増える状態になる睡眠障害です。

睡眠時無呼吸症候群とは、代表的な睡眠障害のひとつで、夜中に何度も呼吸が止まった状態が繰り返される病気のこと。そのほかの症状は、日中の強い眠気、熟睡感がない、集中力の低下など。高血圧症などの生活習慣病も合併していることも多い。定義は、一晩の睡眠で10秒以上の呼吸停止が30回以上、または1時間に5回以上の無呼吸が起こる状態であり、睡眠中に空気の通り道である気道が閉塞してしまうことによって発生する。
睡眠時無呼吸は睡眠中に呼吸が一時的に止まるもので、以下の3つのタイプがあります。
どのタイプの睡眠時無呼吸でも呼吸が異常に遅く浅くなったり、突然少なくとも10秒間(ときには1分間)息が止まった後に、再び呼吸しはじめたりします。 十分な睡眠が取れないために昼間の眠気や疲労、イライラ、朝の頭痛、思考力や集中力の低下を招きます。血液中の酸素量が大幅に減少するために脈拍が異常になり、血圧が上昇します。
確定診断と重症度の判定を正確に行うためには、睡眠検査が最も良い方法です。脳波(EEG)を取って睡眠レベルの変化をモニタリングし、眼の近くに電極を貼ってレム睡眠中の眼球運動を記録します(この検査は眼電図と呼ばれます)。さらに、指か耳たぶに電極をつけて血液中の酸素量を測定します(この検査はオキシメトリーと呼ばれます)。鼻孔の前に測定器をあてて呼吸流量を測定し、胸に電極またはゲージを装着して呼吸運動とパターンを測定します。これらの検査では、睡眠時無呼吸が閉塞性なのか中枢性なのかも識別できます。

● 閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸は最も一般的なタイプで、のどや上気道がふさがると起こります。閉塞性睡眠時無呼吸はあお向けに寝る肥満の人に最も起こりやすく、これはおそらく肥満と組織の老化などが組み合わさって、上気道が狭くなる結果と思われます。喫煙と過度の飲酒は、閉塞性睡眠時無呼吸を悪化させる原因になります。また(気腫などの)肺の病気があると、すぐに酸素不足になります。のどや上気道の狭さは、家族に共通してみられる傾向があり、睡眠時無呼吸のリスクを増大させます。小児では、扁桃やアデノイドの肥大が閉塞性睡眠時無呼吸を引き起こします。
最も一般的な症状はいびきで、ゼイゼイと息苦しそうにしたり、ときどき呼吸が止まったり、突然目を覚ましたりします。閉塞性睡眠時無呼吸が重症になると、睡眠中に上気道がふさがって窒息状態を繰り返すため、日中に居眠りが出るようになります。最終的には、居眠りで日中の仕事に支障が出るようになります。
閉塞性睡眠時無呼吸の人は脳卒中、心臓発作、高血圧などのリスクが高くなります。閉塞性睡眠時無呼吸の発作が1時間に20回以上起こる場合は、死亡のリスクが増大します。

● 中枢性睡眠時無呼吸
中枢性睡眠時無呼吸はまれなタイプで、呼吸を調節している脳領域(脳幹)の機能障害によって発症します。脳幹は、正常であれば血液中の二酸化炭素(酸素代謝による副産物)量の変化に非常に敏感に反応します。二酸化炭素量が増えると、脳幹は呼吸筋に信号を送って、もっと強く速く呼吸して二酸化炭素を外へ吐き出すように指令を出します。逆の場合も同じです。ところが、中枢性睡眠時無呼吸では、二酸化炭素量の変化に対する脳幹の感受性が鈍くなっています。血液中の二酸化炭素の増加に対する反応が遅いため、体が過剰反応して過換気になり、その状態が長びいてしまいます。同様に血液中の二酸化炭素の除去に対する脳幹の反応が遅いため、一時的な呼吸停止が長びいてしまいます。中枢性睡眠時無呼吸をもたらす脳幹の機能障害の原因には脳腫瘍が考えられます。心不全患者にも中枢性睡眠時無呼吸が起こります。中枢性睡眠時無呼吸の1種である「オンディーヌの呪い」と呼ばれるタイプでは、はっきりと目が覚めているとき以外は十分に、あるいはまったく呼吸ができません。中枢性睡眠時無呼吸は、肥満には関係ありません。

通常はいびきをかきませんが、呼吸パターンが異常になります。チェーン‐ストークス呼吸(周期性呼吸)が、その例です。チェーン‐ストークス呼吸では、呼吸は徐々に速くなった後に次第に遅くなり、短時間止まってから再び呼吸しはじめるというサイクルを繰り返します。1回のサイクルは、30秒から2分間続きます。

● 混合型睡眠時無呼吸
閉塞性と中枢性の両方の特徴をもっています。たとえば閉塞性睡眠時無呼吸によって血液中の酸素量が減少して二酸化炭素量が増加し、その状態が長びいて脳幹の機能不全が起こると、中枢性睡眠時無呼吸が起こります。混合型睡眠時無呼吸も、まれです。

原因は、肥満や加齢、顔面の骨格的な問題などと考えられているが、 肥満の関与は60%ほどで、むしろ顎が小さい、顔面の奥行きが狭いなど、 アジア人に共通した骨格的な特徴が危険因子となっていることもあります。
 ⇒ 睡眠の種類とサイクル

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