Subject  : その他の真菌感染症

カテゴリー: 健康・医療情報 


 その他の真菌感染症
 ● クリプトコッカス症
クリプトコッカス症は、クリプトコッカス‐ネオフォルマンスという真菌が起こす感染症です。
クリプトコッカスは、エイズのほか、ホジキン病やサルコイドーシスの患者、長期にわたってコルチコステロイド薬による治療を受けている人も感染することがあります。
クリプトコッカス症は主に脳と脊髄を覆っている組織(髄膜)に起こります。髄膜炎のほか、肺や皮膚にも発症し、それ以外の器官を侵すこともあります。
クリプトコッカス症の症状は概して軽く、はっきりしないことが多いですが、髄膜炎の場合は頭痛と錯乱が起こります。肺に感染した場合も、症状はまったくないか、せきや胸痛があるくらいです。肺の重症感染症の場合は、呼吸困難が起こります。。免疫機能が低下している人では、フルコナゾール、アムホテリシンB、あるいはフルシトシンなどを用いて治療します。

 ● ムコール症
ムコール症はフィコミコーシスとも呼ばれ、ケカビ目の真菌が起こす感染症です。
ムコール症は胞子を吸いこむことによって起こります。主に鼻と脳を侵す重度の感染症で、場合によっては死に至り、コントロール不良な糖尿病患者など、免疫機能が低下している人に起こります。肺に感染することも多く、まれに皮膚や消化管も侵します。 症状としては、痛み、発熱、眼窩(がんか)の感染(眼窩蜂巣炎)による眼球突出などがあります。鼻から膿が出て、口の天井(口蓋[こうがい])、眼窩や副鼻腔周辺の顔の骨、2つの鼻孔を仕切っている壁の破壊も起こります。脳に感染すると、けいれん発作、部分麻痺(まひ)、昏睡(こんすい)が起こります。
肺のムコール症は、発熱、せき、ときに呼吸困難を起こします。
治療には、一般にアムホテリシンBを静脈内投与するか髄液の中に直接注射します。感染組織は手術で取り除きます。糖尿病の場合には、血糖値を正常範囲まで下げる治療を行います。ムコール症は死亡率の高い、非常に重い病気です。

 ● ブラストミセス症(ギルクリスト病)
ブラストミセス‐デルマティティジスという真菌によって起こる感染症です。 米国東部と中央部、そしてアフリカで特によくみられます。 ブラストミセス症は主に肺を侵しますが、血流に乗って皮膚など体の他の部位に広がることもあります。最も多いのは皮膚、骨、尿路や生殖管への感染です。
発熱、悪寒、大量の発汗などの症状により徐々に発症します。胸痛、呼吸困難、たんを伴うせき、たんを伴わないせきもみられます。
アムホテリシンBの静脈注射か、イトラコナゾールの内服で治療します。

 ● コクシジオイデス症
コクシジオイデス症はサンホアキン熱や渓谷熱とも呼ばれ、コクシジオイデス‐イミティスという真菌によって主に肺に起こる感染症です(真菌性肺炎)。 米国南西部に発生します。 軽度の肺感染症で治療をしなくても自然に治るもの(急性原発性コクシジオイデス症)と、重症で進行性の感染症で全身に広がりしばしば致死性のもの(進行性コクシジオイデス症)があります。
症状が出るとすれば、感染の1〜3週間後に、せき、発熱、悪寒、胸痛、息切れなど軽い症状がみられる程度です。せきはたんを伴い、血が混じることもあります。眼の表面の炎症(結膜炎)、関節の炎症(関節炎)、皮膚に結節ができる結節性紅斑などの症状がみられる人もいます。
進行性コクシジオイデス症の場合には、フルコナゾールを内服させるか、アムホテリシンBを静脈注射します。イトラコナゾールまたはケトコナゾールで治療することもあります。髄膜炎(脳と脊髄[せきずい]を包む膜の感染症)を起こした場合には、フルコナゾールを静脈注射するか、アムホテリシンBを髄液中に注射します。
 ⇒ 真菌

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