Subject  : 百日咳

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 百日咳
百日咳は自然感染しても終生免疫が得られず、予防接種のみで感染を防ぎきることはできません。三種混合( DPT )ワクチンによる免疫効果は 5 〜 10 年と言われており、近年、特に 15 歳以上の百日咳患者が増加しています。母体からの移行抗体は 1 〜 2 ヶ月で消失するため、乳児期早期から感染の可能性があり、特に 6 ヶ月未満の乳児で は重症化しやすく、注意が必要です。

百日咳菌の飛沫感染による。感染力は非常に強い。
潜伏期間はおよそ 7 〜 10 日が多い( 5 〜 21 日)

 【症状】
 慢性咳嗽が主症状です。咳の平均持続日数が 2 ヶ月と長く、夜間咳き込んで眠れなかったり、咳が止まらず息苦しいといった連発する咳嗽が特徴です。百日咳と診断されることが少なく、感染源となります。
病気の始まりのころには、一般的な微熱を伴い、また、軽いのどの痛みとそれによる食欲低下(おなかはすくが、痛みのため食べられない)程度であることが大半です。発疹は、手足全体、肘や膝、或いは、おしりあたりにみられることもあります。

ワクチン未接種者の経過は3期に分けられます。
◎カタル期( 1 〜 2 週間)
鼻汁、軽い咳嗽などで始まり、感冒と区別がつきません。 通常の咳止めは効果がありません。この時期に適切な抗菌薬 療法を受ければ、咳症状の軽減に有用です。
◎痙咳期( 3 〜 6 週間)
痰を伴わない乾いた特徴的な咳が激しくなります。咳発作 は 夜間に多く 、粘稠な分泌物を吐き出すため、短い連続性の コンコンコンというむせるような咳( スタッカート )を繰り 返します。咳の終わりには、ヒューという笛のような音を伴 った長い息の吸い込み( ウープ )が聞かれます。激しい咳嗽 発作を繰り返すため、顔面が真っ赤になり、瞼が腫れたりします。二次感染がなければ、 熱はなく聴診所見は正常 です
。   6 ヶ月未満の乳児では息を吸い込む力が弱いため、息の吸い込み音を伴わないこともあります。
  2 ヶ月未満の児では無呼吸、チアノーゼ、けいれんや脳症をきたし、死亡することもあります。
  この期間は約 3 〜 6 週間続きます。
◎回復期( 6 週間以後)
咳は発作的ではなくなり、回数も減少します。上気道感染などで再び特有な咳が聞かれることもあります。

 【治療法】
百日咳菌にはマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン 14 日間・クラリスロマイシン 7 日間)が有効です。カタル期に内服した場合に有効ですが、痙咳期になってからでは抗菌薬による症状の改善は期待できません。しかし、除菌することで他への感染を防ぐことができるため重要です。
胃がふくれていると咳き込んだ時に吐きやすいので、 1 回のミルクや食事の量   は減らして回数を増やすようにしてください。

予防は、生後 3 ヶ月になったら早めに三種混合( DPT )ワクチンを接種し、1 歳までに 3回のワクチン接種を済ませておきましょう。

 ⇒ こどもの感染症

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