Subject  : オウム病

カテゴリー: 健康・医療情報 


 オウム病
 オウム病は、人と動物が感染する人獣共通感染症のひとつで、本来は鳥の感染症です。  鳥がクラミジアを持っているかどうかは、見かけではわかりません。感染していても排泄物に病原体を排泄せず、発病しないまま天寿を全うする鳥もいます。  しかし、鳥の体調が悪かったり、ストレスを受けたりしているときには、ふんの中に大量のクラミジアが排出されます。体の弱っている野鳥を自宅に連れ帰ることは、大変に危険です。 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法」で4類感染症に指定されており、オウム病の患者と診断した医師は、保健所に届けなければなりません。

 病原体は、オウム病クラミジア(Chlamydophila  psittaci クラミドフィリア・シッタシ)。クラミジアは細菌の仲間で、感染した宿主の細胞内に侵入して増殖する微生物です。

 【症状と治療】
  インフルエンザに似た症状を発症します。  感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1〜2週間。突然の発熱(38℃以上)で発症し、頭痛、倦怠感、筋肉痛や関節痛などの症状です。重症化すると肺炎や呼吸困難、髄膜炎を起こし、まれに死亡することがあります。高齢者などでは重症になることが多いので注意が必要です。  人の体調が悪くなったら、風邪やインフルエンザの症状で病院に診てもらうときに、鳥を飼っていることを医師に伝えて下さい。鳥との接触の有無は、重要な情報です。治療をする際に、インフルエンザ用の薬はオウム病にはほとんど効かないからです。治療を誤ると、重症化する恐れがあります。クラミジアに効果のある抗生物質は複数あるので、治療することができます。

 鳥の症状では、運動量の低下、餌や水を取らなくなる、やせてくる、下痢、呼吸困難を起こすなどの症状があり、ふんに大量のクラミジアが混じることになります。治療をしないと、1〜2週間で死亡してしまいます。

 【感染経路】
  人の周辺に生息するほとんど全ての鳥種に自然感染がありますが、感染源となるのは、オウム、インコ、カナリア、ハトなどです。国内の鳥類におけるクラミジア保有率は約20%であると考えられています。 病原体のクラミジアは、鳥のふんの中に排出されます。ふんは時間が経つと乾燥して粉々になり、空中に浮遊します。この浮遊するふんの中に病原体がおり、これを吸い込むと感染します。換気の悪い、掃除をきちんと行っていない鳥小屋の中に入った場合、あるいは、飼っている鳥が可愛くてたまらない、食事も一緒に・・・という方はお気をつけ下さい。口移しで餌を与えたりすると感染する可能性が高いです。  しかし、オウム病クラミジアが空中に舞っていても必ずしも感染とはならないことから、無闇に危険視することはありません。

 【予防】
(1)過剰なふれあいは控えること。
 鳥はなるべく屋外で飼育し、口移しで餌を与えることはやめましょう。
(2)鳥に触ったら、必ず手を洗うこと。
 知らないうちにふんなどに触ってしまうこともあるので、必ず手を洗いましょう。
(3)鳥かごの掃除はこまめにし、食卓の近くに置かないこと。
 乾燥したふんは空中に漂い、吸い込みやすくなります。ふんに触れたり、吸い込んだりしないように気を付け、すばやく処理しましょう。
(4)鳥の具合が悪いときは、動物病院で診てもらうこと。ふん便検査で診断することができます。
 飼っている鳥が感染してしまった場合、獣医師の指示に従って看病して下さい。感染鳥を放したりしないで下さい。鳥を隔し、ふんや細かい羽毛などが浮遊しないようにかごの周りをかこってください。(温度と喚起には気を付けてください)。鳥かご等は毎日消毒し、作業のあとは必ず手を洗うこと。
 ⇒ 感染症の種類

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