Subject  : ギラン‐バレー症候群(炎症性の脱髄性多発神経障害)

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 ギラン‐バレー症候群(炎症性の脱髄性多発神経障害)
ギラン‐バレー症候群(AIDP)は、多発神経障害の1種で、筋力低下が進行して麻痺が起こる病気です。

多発神経障害には、突然発症する急性のものと、数カ月から数年かけて症状が徐々に現れる慢性のものがあります。

原因は、体の免疫系が多くの神経の軸索を取り巻いている髄鞘を攻撃する自己免疫反応ではないかと推定されています。風邪をひいたり下痢をしたりした際に、血液中にできる「抗体」が誤って自分の運動神経を攻撃するような「自己抗体」ができ、その「自己抗体」が運動神経の機能を障害して手足の筋肉が動かなくなる、ということが明らかにされつつあります。
ギラン‐バレー症候群には、急速に筋力が低下する急性型と筋力低下が徐々に起こる慢性型の2つのタイプがあります。

 【症状と診断】
ギラン・バレー症候群の症状は、手や足の先が痺れたり、感覚が鈍くなったり、筋力が低下、筋肉が萎縮し始めます。これらの症状は、四肢の末端からしだいに全身に広がります。 手足のマヒの程度は発病してから1〜2週以内にもっともひどくなり、重症の場合には呼吸もできなくなります。
急性型の症状は最初に両脚に現れ、腕に向かって上に進行します。ときには逆の順序で現れることもあります。症状は脱力、チクチクする感覚、感覚消失です。脱力の方が感覚異常よりも顕著に現れます。ギラン‐バレー症候群患者の90%は、2〜3週間以内に脱力が最も重症になります。5〜10%の人は、呼吸をコントロールしている筋肉が非常に弱くなるため、人工呼吸器が必要になります。顔面の筋肉やものを飲みこむための筋肉にも筋力低下が起こるため、約10%の人は静脈栄養、または腹壁を通して胃に直接栄養を送るチューブ(胃瘻[いろう]チューブ)が必要になります。非常に重症の場合、血圧の変動や心拍数の異常、その他の自律神経系の機能障害が起こります。
ミラー‐フィッシャー症候群と呼ばれる急性ギラン‐バレー症候群の珍しい変異型では、いくつかの症状しか現れません。眼球運動の麻痺、歩行困難、正常な反射の消失です。
慢性型では急性型と同様の症状がゆっくりと現れ、通常は約8週間以上かかります。症状は長く続き、永続的になることもあります。

診断は、検査結果と症状のパターンに基づいて行われます。重度の脱力を起こすことがある他の病気、たとえば横断性脊髄炎や脊髄の外傷などを除外するために、脊椎穿刺で採取した脳脊髄液の分析、筋電図、神経伝導試験、血液検査が有用です。脳脊髄液のタンパク質が増加していて炎症を起こしている細胞がなく、筋電図に特有の波形がみられれば、ギラン‐バレー症候群が強く示唆されます。

 【治療】
急性型のギラン‐バレー症候群は、急速に悪化するために緊急治療が必要で、発症者はただちに入院して治療を受けるべきです。適切な治療を開始するのが早いほど、良好な治療結果が期待できるため、診断の確立が決定的に重要です。病院では、必要なときにすぐに人工呼吸器が使用できるよう厳重な監視体制が組まれます。褥瘡(床ずれ)と外傷を防止するために、看護師は柔らかいマットレスを使い2時間ごとに体位交換を行います。関節と筋肉の機能を維持するため、理学療法はただちに開始されます。
血液中の有毒物質をフィルターで取り除く血漿交換(血液浄化で病気をコントロールを参照)や、免疫グロブリン投与が治療の選択肢になります。ステロイドは有効性が証明されておらず、病気を悪化させることもあるため、今では使用されません。

慢性型の患者では、ステロイドが脱力の軽減に役立ちます。おそらく長期投与が必要になるでしょう。免疫グロブリン、血漿交換、免疫抑制薬(アザチオプリンなど)も有効です。
大半の患者は治療しなくても数カ月かかってゆっくりと回復します。しかし早期治療ができれば回復は非常に早く、数日から数週間になります。
 ⇒ 神経系の病気の症状

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