Subject  : 口の中の腫瘍

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 口の中の腫瘍
口の中や周囲の骨、筋肉、神経などあらゆる組織に、腫瘍(しゅよう)ができることがあります。腫瘍には非癌性の良性腫瘍、前癌状態の病変(形成異常)、癌性の悪性腫瘍などがあり、唇、舌の縁、口底、口蓋の奥(軟口蓋)に最も多く発生します。かみタバコや紙巻タバコの喫煙者には、ほおと唇の内側の粘膜に多く癌が発生します。口で発見された癌が、肺、乳房、前立腺などの体の他の部分から転移した癌のこともまれにあります。

さまざまな良性腫瘍が、口の中や周囲に発生します。歯肉にできるかたまりやこぶは、癌ではなく膿瘍(のうよう)または炎症によってできたこぶです。炎症を原因とする良性腫瘍は比較的多く、必要に応じて手術で摘除されます。歯肉にできる良性腫瘍の10〜40%は、炎症を起こす原因が解消されない場合、再発します。このような炎症は、特に長期間放っておくと癌化することがあります。口の中や周囲に発生する腫瘍は癌の可能性があるので、医師の診察を受けるべきです。
指にできたいぼを口で吸ったりすることによって、いぼのウイルスが口へ伝染することがあります。
口の中に白い変色部分、赤い変色部分、あるいは赤白入り混じった変色部分が現れて、こすってもなかなか消えず、2週間以上も消えずに原因がわからない場合は前癌病変かもしれません。これらの変色個所は、治療しなければ癌化する可能性があります。前癌病変であれば、悪性腫瘍と同じリスクがあり、切除しなければ癌化することがあります。

 ○ 骨が徐々に隆起
口蓋の中央や下あごの舌下に、骨が徐々に隆起してくることがあります。この硬い隆起は、よくあるもので無害です。思春期に現れて生涯消えません。たとえ大きな隆起であっても、食事中にこすれたり入れ歯の妨げになったりしない限りは、そのまま放置されます。ただし口の中に骨の腫瘍(骨腫)が多発する場合は、消化管の遺伝性疾患であるガードナー症候群の可能性があります。

 ○ 角化性棘細胞腫(かくかせいきょくさいぼうしゅ)
唇、顔、手などの太陽光線にさらされる部分にできる良性腫瘍です。1〜2カ月で直径1〜2.5センチメートル以上の大きさに成長し、数カ月後には萎縮しはじめて、最終的には治療をしなくても自然消滅します。

 ○ 嚢胞(のうほう)
へこんだ嚢胞や内部に水がたまった嚢胞などが、あごに発生して痛みと腫れを引き起こします。口内に出てきていない埋伏智歯(親知らず)の隣に発生することが多く、癌ではありませんが、拡大するとあごの骨のかなりの範囲が破壊されます。一部の嚢胞は、手術で取り除いた後もかなりの割合で再発します。また口底にも、さまざまな種類の嚢胞が発生します。これらの嚢胞の多くは、食べたものを飲みこみづらくしたり見た目にも良くないため手術で取り除きます。

 ○ 歯牙腫(しがしゅ)
歯牙腫(しがしゅ)は歯をつくる細胞が異常増殖したもので、不格好な小さい歯が余分に生えているように見えます。小児の場合、歯牙腫は正常な歯が生えてくる妨げになります。成人では歯牙腫が正常な歯を押し出すために、歯並びが悪くなります。治療には摘出手術が行われます。

 ○ 唾液腺腫瘍
唾液腺腫瘍の75〜80%が良性で、成長のスピードは遅く痛みもありません。単独の軟らかい動くかたまりで、正常な皮膚の下やほお内側の粘膜の下に発生します。陥凹していたり内部に水がたまっていると硬くなります。最も多いタイプは混合腫瘍あるいは多形腺腫と呼ばれる唾液腺腫瘍で、40歳以上の女性に多く発生します。多形腺腫は癌化することがあるため、手術で摘出されます。手術で取り残しがあると再発しやすくなります。その他のタイプの唾液腺腫瘍も手術で摘出しますが、多形腺腫とは異なり、癌化や摘出後の再発の可能性はほとんどありません。

 ○ 白板症
白板症は表面が平坦な白色の病変で、湿った口の内側粘膜が長期間刺激を受け続けると発生します。病変部の白い変色は、ケラチンの厚い層によるものです。ケラチンは皮膚の最も外側を覆っている物質で、正常な口の粘膜にはさほど多くは存在しません。

 ○ 紅板症
紅板症は赤く変色した病変で、口内の粘膜が薄くなると発生します。赤く見えるのは、下にある毛細血管の色のためです。紅板症は、白板症よりもはるかに高い確率で癌化します。
 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]