Subject  : 免疫性心筋炎

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 免疫性心筋炎
 自己免疫性心筋炎( EAM)は心筋ミオシンをアジュバントと混和しマウスに注入することで心筋炎を発症させるモデルであり、組織中にはマクロファージ、T 細胞が多く浸潤します。

 自己免疫による心筋炎、心筋症は、液性免疫と細胞性免疫があるとされますが、EAMは細胞性免疫が主です。 心筋ミオシンをアジュバントと混和し、足に注射して免疫すると、10〜13日後から心臓のみに激しい心筋炎を発症し、慢性期には拡張型心筋症様病変となります。

他臓器には炎症が無いのに心臓のみに炎症が発症する理由は、まず心筋ミオシンに反応性を持つ病的CD4+T細胞が心臓に循環して来た時に、心臓内のMHC クラスII+細胞である樹状細胞が、心筋ミオシン中のあるエピトープをその病的T細胞に提示し、それらが反応することによって、様々なサイトカインが放出されることがその発端と考えられます。

その後、周辺の線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞などの非心筋非炎症性細胞もその刺激でケモカインや炎症性サイトカインなどを産生し、マクロファージ、T細胞などの炎症細胞が病変部位に浸潤し、心筋炎を発症、増悪させていると考えられます。マクロファージから産生されるiNOSによって過剰に産生されるNOも心筋傷害の重要な要素と考えられます。

 心筋細胞外基質の過剰な分解亢進は、特発性拡張型心筋症の主病態である心室再構築と線維化を誘導することが知られており、この病的な基質分解の分子機序において持続的なマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)2活性が重要な役割を果たしていることが示唆された。一方、EP4作動薬は、TIMP(組織抑制型メタロプロテアーゼ)3の発現を増加し、MMP2の活性を制御することで、過剰な心筋細胞外基質分解を抑制し、その結果特発性拡張型心筋症の発症を抑制する可能性が示された。

 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]