Subject : 肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(指定難病87)
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肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(指定難病87)
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肺は大気中の酸素を体内に取り入れる重要な臓器です。具体的には 肺胞 という小さな房状の袋に空気を送り、空気中の酸素を血液中に取り入れ、血液中の二酸化炭素を空気中に戻します。酸素の少ない血液を心臓(右心室)から肺胞に送るのが肺動脈であり、肺胞で酸素を取り入れた血液を心臓(左心房)に戻すのが肺静脈です。肺動脈の圧力(血圧)が上昇するのが『肺動脈性 肺高血圧 症(PAH)』(詳細はPAHの項参照)ですが、肺静脈閉塞症は肺静脈の閉塞や 狭窄 により、肺毛細血管腫症は肺の毛細血管の閉塞や狭窄により肺動脈の圧力が上昇する病気です。狭小化した血管に血液を送る必要があるため、右側の心臓の仕事量が増え、結果的に肺動脈の圧が上昇します。何故このような病気が生じるかは未だ解明されず、原因の解明が必要です。そのため『PVOD/PCH』は病態解明及び有効治療の開発のために『指定難病』に認定されています。
この病気の最初の認定のためには、『PAH』と同様に 右心カテーテル 検査を受ける必要があります。肺動脈平均圧が25mmHg以上であり、さらに、肺血流シンチグラムという検査で肺血栓 塞栓症 ではないことを確認する必要があります。さらに左側の心臓に病気が無いこと、肺自体に病気が無いことを確認し、分類上同グループに分けられるPVOD/PCH以外のPAHを除外する事が必要です。
PVODとPCHは遺伝的に類縁疾患であることが示唆されています。病理学的にみると、PVODでは肺静脈の内膜肥厚や 線維化 等による閉塞を認め、PCHでは肺胞壁の毛細血管増生による静脈閉塞を認めます。しかし何故このような肺血管リモデリングが生じるかは未だ不明です。現在、原因の解明に向けて難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班では研究を継続しています。
- 【症状】
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体を動かす時に息苦しく感じる、すぐに疲れる、体がだるい、意識がなくなる(失神)などの症状が現れます。しかし病気が進むと、「心臓の機能がより低下」するために、足がむくむ、少し体を動かしただけでも息苦しいなどの症状が出現します。基本的には自覚症状は『PAH』と同様です。しかし安静時および 労作時 低酸素血症の程度がPAHよりも重くなります
- 【治療法】
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本症の原因が明らかではないため、疾患の進行を阻止できる治療はなく、対症療法が主体となります。安静、禁煙が必要であり、妊娠も症状を悪化させる可能性があります。尿量を増やす利尿薬に加え、肺の血管を拡げて血液の流れを改善させる肺血管拡張薬(プロスタグランディン系製剤(PGI2、エポプロステノロールなど)、ホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE-5 Inhibitor)、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA))なども考慮されます。しかし肺血管拡張薬を使用すると、病変部位の特徴から肺に水がたまって( 肺水腫 を起こして)酸素濃度が低下する可能性があり、専門医による十分な管理下での使用が望まれます。さらに一時的な効果が認められた場合でも長期的には効果が限定されるため、現時点では肺の移植療法が推奨されます。
<出典:難病情報センター>
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