Subject  : Valsalva 網膜症

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 Valsalva 網膜症
 バルサルバ網膜症とは、バルサルバ効果に伴ってまれに生じる出血性網膜症です。バルサルバ効果とは、息を止めていきむことにより筋肉が緊張し、いつもより重たいものをもてたり、血圧が上昇して心拍が早まることをいいます。一方で、いきむことにより胸腔内圧が急激に上昇するため静脈血が胸腔内へ還流できなくなり静脈圧が急激に上がります。その結果、網膜血管が破綻して出血するのがバルサルバ網膜症の原因となっています。

 バルサルバ網膜症の経過は良好なことが多く、ほとんどのケースでは安静にして経過観察をするだけで後遺症もなく回復します。今回の患者さんの場合も入院して安静を保った結果、一週間後には視力も1.0まで回復しました。原因としていきみがあったかどうかはっきりしませんでしたが、咳きや嘔吐などで発症する場合もあるようです。

バルサルバ網膜症は、激しい身体活動による網膜血管の破裂によって引き起こされる網膜下出血、硝子体下出血、または内限界出血の一種です。重量挙げ、有酸素運動、咳、くしゃみ、いきみ、嘔吐、性交、妊娠、喘息、風船を膨らませる、楽器を爆破する、心肺蘇生法、褥瘡などの身体活動は、胸腔内圧や腹腔内圧の突然の上昇を引き起こす可能性があります。網膜表在血管の破裂を引き起こす可能性があります。胸腔内または腹腔内の圧力による静脈圧の急激な上昇により、網膜の中心窩の周囲の小さな毛細血管が破裂し、さまざまな強度の黄斑前出血を引き起こします。

 【症状】
 バルサルバ網膜症の主な症状は、突然の痛みのない視力喪失です。その他の症状には、飛蚊症の突然の発症、中心または中心傍の視野欠損、眼圧上昇による吐き気などがあります。

 【治療】
 バルサルバ網膜症は、出血の場所と程度に応じて、通常、数週間から数か月以内に合併症を起こすことなく治癒します。患者には、抗凝固薬の使用や、胸腔内圧または腹腔内圧を上昇させる身体活動を避けることが推奨されます。迅速な回復のためには、Nd:YAG レーザーまたはアルゴンレーザー椎弓切開術が推奨される場合があります。

<出典:>
 ⇒ 目の症状と病気

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