Subject : コケイン症候群(指定難病192)
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コケイン症候群(指定難病192)
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コケイン症候群(Cockayne syndrome:CS)は紫外線性DNA損傷の修復システム、特にヌクレオチド除去修復における転写共益修復(転写領域のDNA損傷の優先的な修復)ができないことにより発症する常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)性の早老症である。1936年にイギリスの小児科医 Cockayneにより「視神経の萎縮と難聴を伴い発育が著明に低下した症例」として最初に報告された。日光過敏症、特異な老人様顔貌、皮下脂肪の萎縮、低身長、著明な栄養障害、視力障害、難聴なども伴う稀な疾患で、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式で遺伝する。
- 【原因】
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CSの責任遺伝子はヌクレオチド除去修復系に関わるCSA(5q12.1)、CSB(10q11.23)、色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)B・D・G群の原因であるXPB(2q14.3)、XPD(19q13.32)、XPG(13q33.1)の5つである。本邦CS患者の責任遺伝子は55%がCSA、30%がCSBであり、XP遺伝子関連は15%である。これらの遺伝子異常により何故CSに老人様顔貌、発育不全、栄養障害、眼症状などの多彩な臨床症状が起きるのかは未だに不明である。
- 【症状】
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光線過敏症、特有の早老様顔貌(小頭、目のくぼみ、皮下脂肪萎縮)、著明な発育・発達遅延、網膜色素変性、感音性難聴など多彩な症状を呈する。各種症状は乳児期に出現し年齢とともに進行する。CTでは脳幹(特に基底核)の石灰化、MRIでは脱髄性変化がみられる。CSは臨床的にI型(古典型)、II型(先天性、生下時から著明な発育障害あり)、III型(遅発型、成人発症)の3型に分類される。その他、色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)との合併型(XP/CS)もある。本邦でみられるCSはほとんどがI型症例である。典型例(古典型)では著明な発育不全、重篤な栄養障害がみられ、思春期までに完全に失明し聴力を失う。関節の拘縮、筋緊張は年齢とともに徐々に進行する。患児は10歳を超えれば歩行困難で車椅子生活となり、思春期には経口摂取が困難となり経鼻栄養や胃瘻が必要になる。う歯も好発する。転倒による外傷に加え15歳前後からは腎障害、肝機能障害、心血管イベント、高血糖、呼吸器系・尿路系感染症の合併に留意する。
- 【治療法】
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CSは単一遺伝子疾患であるため根治的治療法はない。CSは紫外線からの遮光、補聴器や眼鏡の使用に加え、栄養障害、感染、腎障害、肝障害、糖尿病などに対する対症療法が行われている。関節の拘縮、筋緊張に対してはリハビリが有用である。
<出典:難病情報センター>
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