Subject : ATP(アデノシン三リン酸)
カテゴリー : 学びの館 > 生化学
ATP(アデノシン三リン酸)
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ATPは
アデニン(塩基)とリボース(糖)からなるアデノシンに
3個のリン酸が結合したヌクレオチドです。
(リボースの5'ヒドロキシル基にリン酸基が3分子連続して結合した構造を取る。)
正式名はアデノシン-5'-3リン酸。略記として ATP(Adenosine TriPhosphate)。
ヌクレオチドとは、
塩基-五炭糖-リン酸の化合物のことです。
アデニンとは、 C5H5N5 有機化合物の塩基です。
ATPのリン酸とリン酸との結合を
高エネルギーリン酸結合と言います。
この結合が切れる時にエネルギーを放出します。
これが生命活動に使われます。
ATP(アデノシン三リン酸)は、加水分解によって結合が切れて
ADP(アデノシン二リン酸)になります。この時にエネルギーが
放出されます。つまり、ATPとはエネルギー貯蔵物質です。
ATPは、ATPアーゼという物質によって加水分解されて、
ADPと無機リン酸に分かれます。
この時発生するエネルギーは
ATP1モルあたり7〜10Kcalのエネルギーです。
生物はATPのエネルギーで活動します。
ATPは生物のエネルギー通貨と言われています。
生物の営む運動や成長や化学反応はATPの持つ化学エネルギーによって行われています。
生物の活動によって失われたATPは、呼吸や発酵によって補われます。
(ATPを作る働きを呼吸と呼びます。)
ATPは主にATP合成酵素において酸化的リン酸化、光リン酸化によって生じる。
ADP+Pi → ATP
また、解糖系やクエン酸回路などでもATPは生じる。
動物で見られるGTP(グアノシン三リン酸)については、以下の反応式でATPに変化する。
GTP+ADP ⇔ GDP+ATP
また、ADPのみでもATPの合成は可能であり、以下の反応が生物体内で起きていることも明らかになっている。
2ADP → ATP+AMP(アデノシン一リン酸)
ATPは哺乳類骨格筋100gあたり0.4g程度存在する。反応・役割については以下のものがある。
- 解糖系…グルコースのリン酸化など
- 筋収縮…アクチン・ミオシンの収縮
- 能動輸送…イオンポンプなど
- 生合成…糖新生、還元的クエン酸回路など
- 発光タンパク質…GFPなど
- 発電…デンキウナギに見られる筋肉性発電装置
- 発熱…反応の余剰エネルギーなど
リン酸基の付加はリン酸基転移酵素(キナーゼ)によって行われる。また、ATPそのものもRNA合成の前駆体として利用されている。
⇒
ヌクレオチド、 RNA(リボ核酸)
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