Subject : 二糖類
カテゴリー : 学びの館 > 生化学
二糖類
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二糖類とは,単糖類分子2個が脱水縮合したかたちの化合物です。
(2つの単糖類がグリコシド結合でつながったもの)
代表的な二糖類に,マルトースmaltose(麦芽糖),
スクロース(ショ糖),
セロビオース,
ラクトース(乳糖)などがあります。
このうち,スクロース以外は還元性を示しますが,スクロースは還元性を
示しません。しかし,スクロースを加水分解して転化糖にすると,還元性を示すようになります。
- ● マルトース(Maltose)
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maltose(麦芽糖) C12H22O11 malt=麦芽
α−グルコース分子が2個縮合(1−4結合)
マルトースは、水あめの主成分で、麦芽糖ともよばれています。
α−グルコース分子が2個縮合したかたちをとっており,片方のα−グルコース分子の1番炭素と,他方のα−グルコースの4番炭素が,α−グルコシド結合しています。これを1−4結合とよんでいます。分子モデルをみると,2個のグルコース分子がねじれて結合しているようにみえませんか。多糖類のアミロースがらせん構造をしているのですが,そのらせんのもとはこの構造にあると思います。
右側のα−グルコースの1番炭素と,1番炭素と5番炭素の間の酸素原子との間の共有結合が切れると,開環構造になります。そのとき,1番炭素はアルデヒド基になりますから,還元性を示します。
グリコシド性
ヒドロキシル基をもつため還元性を示す。分子中でグリコシド性ヒドロキシル基の存在する
末端を還元性末端,その反対側を非還元性末端という。
- ● スクロース(sucrose)
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(ショ糖) C12H22O11
α−グルコース分子とβ−フルクトフラノース(五員環)分子が縮合(1−2結合)
スクロース=ショ糖ですが,市販品はグラニュー糖という。最も純度の高いものは,結晶状になった氷砂糖です。
。砂糖は,スクロースとその部分加水分解
物の混合物であるため結晶とならず,水に素早くまた高濃度に溶けます。
スクロースはα−グルコース分子とβ−フルクトフラノース分子が,1−2結合した構造をしています。α−グルコースが還元性を示すのは,開環構造のときに1番炭素がアルデヒド基になるのでしたね。また,β−フルクトースが還元性を示すのは,開環構造のときに2番炭素のケト基がヒドロキシル基に変わり,1番炭素のヒドロキシル基がケト基になって,結局1番炭素はアルデヒド基になったのでしたね。ところが,スクロース分子では,α−グルコースの1番炭素と,β−フルクトースの2番炭素が酸素原子を挟んで結合しているため,開環構造をとれないのです。その結果,還元性を示さないことになります。
ところが,スクロースを加水分解すると,グルコースとフルクトースの等量混合物になります。この混合物を転化糖といい,転化糖は還元性を示すようになります。
スクロースは右旋性です。加水分解して生じるグルコースは右旋性,フルクトースは強い左旋性です。したがって,この混合物は偏光を左に旋回するのです。そこで,この加水分解の課程を転化といい,分解によって生じる混合物を転化糖というのです
- ● セロビオース(sellobiose)
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C12H22O11
β−グルコース分子2個が縮合(1−4結合)
セロビオースは,β−グルコース分子2個が,1−4結合しています。頭の中で想像するのは難しいのですが,β−グルコース分子の1番炭素に結合しているヒドロキシル基は上向きですね。また,4番炭素に結合しているヒドロキシル基は下向きです。ちなみに,マルトースでは,2個のα−グルコース分子が1−4結合しています。1番炭素に結合しているヒドロキシル基は下向き,4番炭素に結合しているヒドロキシル基も下向きです。
β−グルコース分子は平面的な分子になっているので、この構造がセルロースのかたちに大きく影響するのです。
- ● ラクトース(lactose)
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ラクトースは乳糖ともよばれており,β−ガラクトース分子とα−グルコース分子が1−4結合した構造をしています。α−グルコース分子の1番炭素は結合に関与していませんから,還元性を示します。
ラクトースは母乳(6%)や牛乳(4%)などの乳汁中に存在する。D-ガラクトースは新生児の神
経細胞膜の糖脂質として使われるため,ラクトースは新生児に欠かせない栄養である。
⇒
炭水化物(糖質)
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