Subject   : 熱膨張率(熱膨張係数)

カテゴリー  : 学びの館 > 物理、材料 


 熱膨張率(熱膨張係数)
熱膨張率(ねつぼうちょうりつ)は、温度の上昇によって物体の長さ・体積が膨張する割合を、1K(℃)当たりで示したものである。熱膨張係数(ねつぼうちょうけいすう)ともいう。単位は 1/K である。英語略称でCTE(Coefficient of thermal expansion)という。
温度の上昇に対応して長さが変化する割合を線膨張率(線膨張係数)といい、体積の変化する割合を体積膨張率という。線膨張率をα、体積膨張率をβとすると β=3α の関係がある。
儉=α・L・儺 (儉:伸び、L:長さ、儺:温度上昇)
原子間の結合の強さで決まる物性値なので、材料の融点と相関がある。
なお、熱膨張率の異なる材料を組合せて使う場合、温度変化による熱膨張率の違いから、熱応力が生じる。この熱応力により、材料にクラックなどが入って壊れることがあり、様々なものの故障原因となっている。
ある温度で体積変化を伴う相転移を起こす性質を利用して、使用温度領域で、線膨張が小さくなっている合金(アンバーまたはインバー合金)もある。
金属とガラスの接合に用いられている(硬質ガラスとほぼ同等の熱膨張係数を実現した、42アロイ(Fe-42%Ni)と呼ばれる合金のNi含有量の一部をCoで置換)、「封着合金」とも呼ばれ真空管や光関連部材(パッケージ材)に多用されているコバールがある。
材料名 線膨張率
(×10-6/K)
メモ
無水ケイ酸 0.5
ダイヤモンド 1.1
パイレックスガラス 3.2
タングステン 4.3
炭化ケイ素(SiC) 6.6
クロム 6.8
粘土 8
硬質ガラス 8.5
アランダム 8.7
白金 9
れんが 9.5
MgO 9.7
アンチモン 12
コンクリート 12
12.1 炭素鋼:10.8
ステンレス鋼(SUS410):10.4
ステンレス鋼(SUS304):17.3
コバルト 12.4
ニッケル 12.8
ビスマス 13.3
14.3
16.8
黄銅 19
CaF2 19.5
アルミニウム 23 25
ケイ素 24
マグネシウム 25.4
亜鉛 26.3
すず 26.9
カドミウム 28.8
29.1
NaCl 40.5
氷(0℃) 50.7
硫黄 64
ナトリウム 75
水銀 60
カリウム 83
パラフィン 110
ゴム 110
参考)社団法人精密工業会誌 

 ⇒ 熱力学で用いられる単位

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