Subject   : 配位結合

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 配位結合
配位結合(Coordinate bond)とは、結合を形成する2つの原子の一方からのみ結合電子が分子軌道に提供される化学結合である。
見方を変えると、電子対供与体となる原子から電子対受容体となる原子へと、電子対が供給されてできる化学結合であるから、ルイス酸とルイス塩基との結合でもある。したがって、プロトン化で生成するオキソニウムイオン(より正確にはオニウムイオン)は配位結合により形成される。
またオクテット則を満たさない第13族元素の共有結合化合物は、強いルイス酸であり配位結合により錯体を形成する。
あるいは遷移金属元素の多くは共有結合に利用される価電子の他に空のd軌道などを持つ為、多くの種類の金属錯体が配位結合により形成される。
例えばアンモニアの窒素は5つの価電子をもち、3つの水素原子と共有結合を形成して閉殻状態(8電子)になっている。そして、アンモニア窒素には水素との共有結合に参加していない2つの電子(1つの非共有電子対)が存在し、電子対を供与することが可能なルイス塩基でもある。プロトンがルイス塩基と配位結合すると、窒素の原子が+電荷を持ったオニウムイオン(アンモニウムイオン)となる。

配位結合は、共有結合ほど強くはなく、水素結合ほどは弱くはない結合です。構成分子と金属イオンは、この結合を利用してマイルドな条件下で自動的に、多様な構造体に組み上がることができます。本領域で、私達は分子を用いて精密に設計し、随意に組み上げられた空間を用いて、未知の分子凝集、分子ストレス、分子活性化の諸現象を発見し、ナノサイズの空間における分子間相互作用、分子―表面の相互作用の法則を解明して、配位空間が展開する新しい化学を確立することを目指しています。
配位結合と共有結合も同じく分子軌道により形成されるので本質的には違いが無いが、その分子軌道の構造やそのエネルギー準位により結合自身の性質が決定される。前述のアンモニウムイオン(NH4+)の場合は共有結合も配位結合も窒素のsp3軌道と水素の1s軌道から生成する等価な分子軌道であり、4本の結合に違いは無い。一方、π供与性の配位結合やsp3d混成軌道から生成する配位結合は、もとの電子軌道が等価では無い為に性質に違いが現れる。
● 孤立電子対
孤立電子対(こりつでんしつい)とは、原子の最外殻の電子対の内、共有結合に関与していない電子対のこと。それ故、非共有電子対とも呼ばれる。
孤立電子対の電子は金属やルイス酸性物質に配位することが可能であり、孤立電子対を持つ化合物は配位子やルイス塩基として働くことができる。
● オキソニウムイオン
 水和したプロトンで,普通H3O+で表される。水和が重要でないときには,単に H+と表し,水素イオンと呼んでいる。
   H++H2O―→ H3O

水溶液中のH+は,O原子の間を急速に移動し,個々のH3O+の寿命は約10-13秒 程度である。
 非水溶媒,たとえばメタノールやジメチルエーテルにH+が結合して生じるCH3 OH2+や(CH3)2OH+などは,メチルオキソニウムイオン,ジメチルオキソニウムイオ ンと呼ばれている。
孤立電子対の電子は金属やルイス酸性物質に配位することが可能であり、孤立電子対を持つ化合物は配位子やルイス塩基として働くことができる。

 ⇒ 化学結合

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