Subject : 仕事関数(Work function)
カテゴリー : 学びの館 > 物理
仕事関数(Work function)
-
物質表面において、表面から1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギーのこと。この時、表面上の空間は真空であるとする。
仕事関数は真空準位とフェルミ準位とのエネルギー差となる。表面から電子を取り出す場合、それは熱(→熱電子)であったり、光の吸収や原子、イオンなどの衝突などによって電子が励起されて飛び出してくる。飛び出す電子はいろいろなエネルギー準位から出てくるが、仕事関数は定義によりその中で最小のものとなる。従って真空準位とフェルミ準位(T = 0 K)との差が仕事関数となる。表面の電子状態がバンドギャップを持つ場合は、バンドギャップ中にあるフェルミ準位と真空準位とのエネルギー差が仕事関数となる。
金属元素表面での仕事関数の値は、大体2〜6 eV程度(eV:電子ボルト)である。金属単体として最も仕事関数が小さいのはセシウムで、1.93 eVである。
仕事関数の値は、表面における原子の種類、面の方位や、構造、或いは他の原子が吸着していることなどに強く依存する。これは別の言い方をすれば、仕事関数は表面の電子状態に強く依存している量である。
実験的には、ケルビン法(振動容量法)、熱電子放出や光電子放出実験などで測定される。
物質 |
仕事関数[eV] |
メモ |
Cs |
1.93 |
|
Hf |
3.9 |
|
Nb |
|
4.01 |
Al |
4.13 |
|
Ti |
4.14 |
3.96 |
Ta |
4.19 |
4.12 |
Ag |
4.31 |
|
Mo |
4.45 |
4.15 |
W |
4.52 |
4.54 |
Co |
4.45 |
|
Cr |
4.5 |
|
C |
4.5 |
|
Ru |
4.68 |
|
Au |
4.70 |
4.77 |
Pd |
4.9 |
|
Re |
|
5.1 |
Ni |
5.2 |
4.16 |
Ir |
5.35 |
5.48 |
Pt |
5.65 |
5.32 |
物質 |
仕事関数[eV] |
メモ |
GaAs |
3.7 |
|
TaN |
4.05 |
|
WNx |
4.6 |
|
WN |
5.0 |
|
TiN |
4.7 |
|
TiSi2 |
4.5 |
|
NiSi |
4.9 |
|
Mo2N |
5.33 |
|
TaN |
5.43 |
|
⇒
金属の物理的性質
[メニューへ戻る]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]