Subject   : 誘電体、圧電体、焦電体

カテゴリー  : 学びの館 > 物理・材料 


 誘電体、圧電体、焦電体
誘電体の分類とその関係誘電体には最も基本的な常誘電体および圧電体・焦電体・強誘電体の全4種類に分類され、以下のような性質を示す。なお、強誘電体はこれら全ての特徴を兼ね備え、焦電体は焦電体・常誘電体の性質も示す。 圧電体、焦電体、強誘電体以外の全ての誘電体のことを常誘電体という。

● 圧電体
応力を加えることにより分極(および電圧)が生じる誘電体を圧電体と呼ぶ。 また、逆に電圧を印加することで応力および変形が生じる。これらの性質は圧電性と呼ばれ、ソナーなどに利用されている。

● 焦電体
圧電体のうち、外から電界を与えなくても自発的な分極を有しているものを特に焦電体と呼ぶ。微小な温度変化に応じて誘電分極(およびそれによる起電力)が生じる性質が名称の由来である。この性質は赤外線センサなどに応用されている
焦電効果は温度の変化に応じて、自発分極をもつセラミック(チタン酸ジルコン酸鉛 (PZT) など)の表面に帯電する電荷が増減する現象である。焦電素子は光を単に熱源として用いており、素子自体の波長依存性が低いため、外部に用意したフィルタによって容易に必要な波長を選ぶことができるのが特長である。また安価であることも特長である。一方、応答時間は比較的長い。

PZT等を原料とする板(焦電体板)、焦電体板に並列に挿入された高抵抗、焦電体板の高い出力インピーダンスを下げるための電界効果トランジスタを一つのパッケージに封入してある。焦電体板表面には光の吸収と電気的な接続のための電極が貼られている。電極は受光側とその裏側に対になって貼られ、この対の個数で焦電素子は分類される。人体検出用には、二組の電極対を持つデュアル素子が用いられる。二組の電極の対は逆向きの極性をもって接続されるので、両者に同時に光が当たると電圧が打ち消し合い出力が得られない。人体の運動などにより光の量に偏りが発生すると出力が得られる。他にも電極対が一組のシングル素子、四組のクワド素子があり、前者はガス分析等、後者は人体検出等に用いられる。

● 強誘電体
焦電体のうち、これを外部からの電界によって方向を反転させることのできるものを特に強誘電体と呼ぶ。 強誘電体の特徴として、分極が外部電場に対するヒステリシス特性を有することが挙げられる。この特性は不揮発性メモリの1種であるFeRAMに応用されている。


 ⇒ 圧電効果と圧電体

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