Subject : フェノール類
カテゴリー : 学びの館 > 化学
フェノール類
-
ベンゼン環の水素原子をヒドロキシル基-OHで置換した形の化合物
代表的な化合物には,フェノール,ナフトール,クレゾールなどがあります。ナフトールには2つの異性体,クレゾールには3つの異性体があります。
フェノールは,プラスチックや洗剤の原料として重要です。
フェノール類は,ヒドロキシル基をもっていますが,弱い酸としてはたらきます。フェノキシドイオンが安定なためでしょう。しかし,高校化学の範囲において,酸としては最も弱いものです。酸の強さは,塩酸,硫酸>スルホン酸>カルボン酸>炭酸水>フェノール類,です。
- ■ フェノールの性質
-
わずかに電離
C6H5-OH ⇔ C6H5-O− + H+
フェノール フェノキシドイオン
塩基と反応して塩をつくる
C6H5-OH + NaOH → C6H5-ONa + H2O
ナトリウムフェノキシド
CO2を通じると,フェノールが遊離
C6H5-ONa + CO2 + H2O → C6H5-OH + NaHCO3
- ■ フェノールの反応
-
フェノールも,ベンゼン環の置換反応が起こりやすいですね。Br+やNO2+など陽イオンが反応する置換反応では,オルト,パラの位置で置換反応が起こります。2,4,6-トリニトロフェノールのことをピクリン酸とよんでいます。ピクリン酸は黄色の結晶で,火薬に用いられますが,やけどの特効薬でもあります。
C6H5-OH + 3Br2 → C6H2Br3OH + 3HBr
2,4,6-トリブロモフェノール
濃硫酸
C6H5-OH + 3HO-NO2 → C6H2(NO2)3OH + 3H2O
2,4,6-トリニトロフェノール(ピクリン酸)
- ■ フェノールの製法
-
フェノールの代表的な製法は3つあります。
<クメン法>
+CH2=CHCH3 +O2 分解
C6H6 → C6H5-CH(CH3)2 → C6H5-C(CH3)2OOH → C6H5-OH + CH3COCH3
クメン クメンヒドロペルオキシド フェノール アセトン
<アルカリ融解(スルホン化法)>
+濃H2SO4 +NaOHaq +NaOH(固) +CO2
C6H6 → C6H5-SO3H → C6H5-SO3Na → C6H5-ONa → C6H5-OH
ベンゼンスルホン酸 ナトリウムフェノキシド
<塩素化法>
+Cl2 +NaOHaq +CO2
C6H6 → C6H5-Cl → C6H5-ONa → C6H5-OH
鉄粉 高温・高圧 H2O
クメン法では中間体が爆発しやすいので,濃くすることができません。ベンゼンの4〜5%しかフェノールにはならないそうです。また,大量の溶媒も必要になります。
新しい合成方法の研究も進められています。産総研触媒・膜システムグループの丹波修一主任研究員達は,パラジウムの薄膜で覆われた細い管に水素を流し,管の外側にベンゼンと酸素を流す方法を開発しました。水素はパラジウムの作用で水素原子になり,管の外側にしみ出すそうです。その水素原子は酸素と反応し,今度は酸素原子ができるそうです。この酸素原子がベンゼンと反応し,フェノールとなるという反応です。
⇒
ポリフェノール(Poliphenole)
⇒
有機化合物の同族列の慣用名
[メニューへ戻る]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]