Subject : 気体の粘度(動粘度)
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気体の粘度(動粘度)
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液体では温度が高いほど粘度は小さいが、気体では逆に高温ほど粘度は大きくなる。
もっとも気体の粘度は液体の 1/100 程度だが、それでも温度依存度は大きい。両者の温度による変化が逆になるのを、分子論的な立場から説明するのはいささかややこしいが、直感的に説明すると次のようになる。
液体分子は、かなり密に凝縮しており、個々の分子は狭い空間で振動している。管の両端には圧力がかかっていて、この圧力のために分子は移動する。管壁の分子は壁に邪魔されて移動困難であり、管の中央部にある分子は流れの方向によく走る。隅の遅い分子がそのまま中央部へ行ったり、中央部の速い分子が管壁の方へ行ったりして全体の流れを乱す現象が粘性なのである。
温度が上がると液体では、流れと垂直方向に動くよりも、圧力方向 ( 流れの方向 ) に移動する傾向が、いっそう強くなる。つまり「よく流れる」ようになる。だから粘度は減る。このことは直感的にも、ほぼ納得できよう。
しかし気体分子は、広い空間を飛び回っているのである。温度が上がるとその速度は大きくなる。流れに垂直方向にも、遠くまで走ってしまう。つまり遅い分子と速い分子とが、よく混じり合い、そのため粘度は大きくなってしまうのである。気体の粘度とは、あまり感覚的にピンとこないが、温度が上がると増加するものなのである。
動粘度 υ というのは、流体の密度を d としたとき r = η/d により定義される。だから η を kg/m3 で割って、単位は m2・s-1 となる。密度が大きければ、 z 方向 ( 速度勾配への方向 ) への移動も当然にぶくなるから、場合によっては η よりも υ で分子運動の乱れやすさを表した方が、適当であろう。
なお、動粘度の CGS 単位 [ cm2/s ] をストークス ( St ) という。 1 St = 1 Pg-1・cm3 の関係になる。
一般には、粘度の温度依存よりも、どの物質がねばっこいかを知る方が興味深いだろう。表によれば、ひまし油が断然大きく ( 25 ℃ で 700 × 10-3Pa・s ) 、硫酸、アニリンも大きい。エチルアルコール、四塩化炭素、水銀などは水とほとんど同じであり、ベンゼン、メチルアルコール、アセトン、ジエチルエーテルは小さい。
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